はじめてのこよみ暮らし

七十二候をはじめて過ごす「家族」の記録

鎖の雨樋を探そう

しほと太郎が住む浜松市は雨続き。日曜日には台風21号の暴風圏が通過していきました。台風一過の晴天も束の間、また雨です。洗濯ができず、しほがぼやいています。

しほ ずっと雨。これじゃあ洗濯物がたまっちゃうし、私の雨女ぶりも賞味期限切れ。
太郎 それ、どういう意味ですか? でも次の七十二候は霎時施こさめときどきふるですし、10月の季語に「秋の雨」や「秋霖しゅうりん」があります。雨を楽しめそうな時期でもありますね。
しほ 雨かあ、そうそう、ずっと気になっていたことがあるんだ。
太郎 お、何です?
しほ 雨どいがあるじゃない? 実家が鎖の雨樋で、水を屋根から鎖伝いで地面に流していたんだけれど、鎖樋って最近見ないんだ。
太郎 鎖樋は数寄屋造りの棕櫚縄しゅろなわが発達したものと言われていますね。
しほ そうなの? さすが、太郎は物知りだね。鎖樋はいろんな種類があって、おしゃれなものも開発されているって聞いたことがあるんだけど、実際はどうなのかな。
太郎 では、探しに行きましょう。

鴨江フィールドワーク

しほと太郎は浜松市の鴨江に来ました。坂の多い町には車がぎりぎり一両入れそうな細い路地が張り巡らされています。

太郎 からっと秋晴れの良い天気ですね。
しほ これで雨女は卒業かな。
太郎 いえ。雨の企画で晴天というのは厄介な部類の雨女かもしれませんよ。
しほ えええ~。

2人は鴨江町を探索します。

しほ 歩くと楽しい町だね。
太郎 そうですね。新しい家もありますが築年数のありそうな家もあります。あきらかに空き家、という家も多いですね。
しほ でも、どの家も管型の樋ばかりで、鎖樋はないね。最近の家では使わないのかなあ。
太郎 そうですね。鎖樋はあまりここでは流行していないのかもしれませんね。お寺にはもしかしたら鎖樋、あるかもしれません。

2人は鴨江観音こと鴨江寺に入ります。

しほ あ!あそこ!鎖の雨樋あったよ!
太郎 ですね。なんだか托鉢僧たくはつそうが持っている錫杖しゃくじょうの金輪っぽいですね。
しほ 仏教だからそうしたのかな。
太郎 かもしれませんね。おや、あのお堂を見てください。昔、あそこに鎖樋があったかもしれません。
しほ 雨水がそのまま落ちちゃっているね。撤去しちゃったのかな。
太郎 そうかもしれませんね。老朽化とかでしょうか。

その後も鴨江を歩きますが2人はなかなか鎖樋を見つけられません。歩き途中で見つけた鴨江珈琲さんで一休みです。

しほ 珈琲おいしいね。
太郎 落ち着きますね。でも、なかなか他に見つかりませんね。
しほ どうしてないんだろうなあ。最近大雨が多いから、排水が間に合わないとか?
太郎 たしかに、最近は全国的に水害も多いですし、屋根からの排水にはよりいっそう神経を使うところなのかもしれません。
帰り道にお寺があるのでそこでも見てみますか。

帰り道にあるお寺にも鎖樋はありませんでした。東海道に近づくと、しほは民家に何か見つけたようです。

しほ 太郎、ちょっと停まって!
太郎 はい。停車しますね。

太郎 さすが編集長、鎖樋ですね。
しほ でも鴨江観音さんの鎖樋とちょっと違うね。
太郎 カップ型ですね。
しほ いろんな形の鎖樋があって、見るのが楽しいね。今度は雨の日に太郎にも見てほしいな。鎖樋を伝う雨水って、情緒あるから好きなんだよね。
太郎 そうなんですね。意識はしていませんでしたが、雨を楽しむ日本人の知恵を感じます。他にもどんなタイプがあるのか探してみたいですね。地域ごとで形も違うかもしれません。

しほと太郎の鎖樋探しの旅はまだまだ続きます。みなさんも近所で鎖樋を見つけたら、しほと太郎に教えてあげてくださいね。

ボサノヴァのビートづたひに木の実雨 林甲太郎


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