はじめてのこよみ暮らし

七十二候をはじめて過ごす「家族」の記録

収穫体験

しほと太郎は浜松市北区細江町中川にある野沢園さんへお邪魔しました。あるものを収穫させていただくため……。

太郎 編集長。野沢園さんに着きましたよ。
しほ お、もう着いたんだ。
太郎 あそこに野沢さんの後ろ姿が見えます。行きましょう。

みかん箱を運んでいる優しそうなおじさんがいました。今日お世話になる、みかん農家の野沢さんです。

太郎 こんにちは。
しほ よろしくお願いします。しほと太郎です。
野沢 こんにちは。では、さっそく行きましょうか。
太郎 はい、お願いします。

野沢さんに案内されてしほと太郎はみかん畑へ向かいました。用水路を渡ったところに野沢園さんのみかん畑があります。ビニルハウスの入口から中へ。

野沢 ここにおもしろい枝があるんですよ。

そう言って野沢さんはたくさんみかんが実った枝を切ってくださいました。野沢さんは切ったみかんを手にとり、太郎にみかんの整え方を教えてくれます。

太郎 一回茎を切ってから、へたの近くを切るんですね。この切り口、スーパーとかでよく見ます!
野沢 みかんが傷つくとそこから腐っちゃうし、茎が残っていると他のみかんを傷つけちゃうのでこのように切ります。
太郎 みかん農家さんならではの技術ですね!

蜜柑農家さん

野沢さんに案内されてしほと太郎は、収穫していい木へみかんの葉枝をかきわけながら行きます。蜜柑の木から鳥が飛び立ちました。

太郎 なんの鳥ですか?
野沢 ヒヨドリがいますね。

カラスは柿を、ヒヨドリはみかんをおもに食べるそうです。そうこうしているうちにしほと太郎はお目当ての木へたどり着きました。

野沢 この木なら好きなだけ採っていいですよ。この鋏を貸しますのでお使いください。私はむこうで作業をしています。
太郎 はい、がんばります。
しほ 太郎、がんば。

太郎 編集長。きれいに切れましたよ。
しほ 何できれいに切ちゃったの! 飾りにつかうのに葉枝を落としたらダメじゃん。
太郎 ああ、そうですね。

しほに怒られた太郎。しばらくすると太郎はみかんを葉枝つきで切ることに慣れてきました。そんなとき、太郎はふとつぶやきます。

太郎 みかんって、かわいいな。
しほ え、どうしたの?
太郎 私、みかんのかわいさに目覚めてしまったのです。
しほ そうなんだ。

みかんのかわいさに気づいてしまった太郎。二十個くらい葉枝つきのみかんを採って帰りました。

葉枝つきみかん

しろがねの鋏馨し冬木立 林甲太郎