森里海の色
四季の鳥「コミミズク」

草原を滑翔する木菟

1月のある日、早朝から県外の広いヨシ原に探鳥に行きました。ヨシ原に棲む小鳥や遊水池に浮かぶ水鳥を観察した後、ヨシ原を見下ろす堤の上で、この日いちばん見たい鳥の出現を待ちます。午後3時半を過ぎた頃、目当ての鳥が姿を現しました。コミミズクです。短い草の生えた堤の斜面をなめるように、コミミズクは低空で私のほうに近づいてきます。コミミズクは北半球の亜寒帯に広範囲に繁殖する草原性のフクロウの仲間です。日本には冬鳥としてやって来て、河川などの開けた草原や農耕地で主にネズミを食べて越冬します。

小耳木菟

この日、現れたコミミズクは2羽で、そのうちの1羽は何回か棒杭の上に止まり、また滑翔を繰り返し、夕闇迫る草原で獲物のネズミを探していました。いったん飛び出すと、羽ばたきと滑翔を繰り返し、よく辺りを飛び回ります。コミミズクが飛ぶ姿を横から見ると、まるでタケノコが飛んでいるようです。横向きに飛んでいるところを見るとそれほど大きく見えませんが、正面から飛んでくるときの翼の長さに驚きます。全長38センチに対して翼開長は100センチもあります。
フクロウ(梟)とミミズク(木菟)の違いは何ですかと聞かれることがありますが、分類学上はミミズクもフクロウの仲間で区別はありません。頭の左右に耳のように見える羽角と言われる羽があることでミミズクと呼ばれるようですが、コミミズクの羽角はほとんど目立ちません。
鳥に詳しくない人でもフクロウの仲間を見ればフクロウだとわかるのは、やはりフクロウの顔の特徴でしょう。獲物を捕りやすい構造になっています。人間の目と同じようフクロウの目は顔の前に付いていて、広い視野と奥行きを捉えることができます。特大の眼球は頭骨に固定され回すことができないかわりに、首を270度も回すことができます。また顔の前面が平たくなっていて(これを顔盤と言います)、暗闇でネズミが発するわずかな音をパラボラアンテナのように拾いやすくなっており、顔の左右にある耳は上下に微妙にずれていて音の来る方向を判別できるようになっています。



真鍋弘

真鍋弘  まなべ・ひろし編集者

1952年東京都生まれ。編集者。東京理科大学理学部物理学科卒。月刊「建築知識」編集長(1982~1989)を経て、1991年よりライフフィールド研究所を主宰。「SOLAR CAT」「GA」等の企業PR誌、「百の知恵双書」「宮本常一講演選集」(農文協)等の建築・生活ジャンルの出版企画を多く手がける。バードウォッチング歴15年。野鳥写真を本格的に撮り始めたのは3年前から。