びおの珠玉記事

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旬のコラム
イチョウと銀杏

芝犬とイチョウ

10月も半ばを過ぎて、辺りはすっかり秋の気配へと変わりましたね。
びおではこれまでに、秋の旬として栗やリンゴ、ドングリについての記事を書いてきましたが、今回はイチョウと銀杏(ギンナン)を取り上げます。
銀杏
銀杏は、好きな人と嫌いな人に分かれる食材ですね。また、最近はイチョウの葉にある効能が注目を集めています。
それでは早速イチョウと銀杏について探っていきましょう。
ちなみに「銀杏」と書いてイチョウともギンナンとも読みます。ここでは銀杏(ギンナン)とします。
イチョウ

イチョウは生きる化石と呼ばれてる

恐竜がいた時代、今からおよそ2億年前にイチョウは現れました。草食恐竜が様々な場所にイチョウの種を運んだのでしょう。その後、恐竜の繁栄と共に全世界でイチョウも生息・繁栄します。当時の地層からイチョウの化石が発見されていることからも良くわかります。今から6500万年前(白亜紀末)に起きた、未だにはっきりとは解明されていない天変地異により環境が激しく変化、それからまもなく恐竜は絶滅、多くの種類のイチョウも衰退していきました。被子植物の繁栄も影響したのかもしれません。イチョウの仲間は除々に絶滅していき、野生として生息しているイチョウは中国に1種類を残すのみとなりました。
人類が文明を築き始めた後、イチョウは中国で栽培されるようになり、鎌倉時代には日本に伝来、室町時代には、日本の歴史(書物)にも登場するようになります。その後、日本からヨーロッパへと伝わっていきます。今度は、人の手によって再び世界へと広がっていきました。
どこにでも見られるイチョウの木には、とても壮大なストーリーがあったのですね。また、現在では品種改良により大粒の銀杏のなる木の開発もされています。

有名なイチョウの木

イチョウは、とても長寿の木として知られています。少し前に鎌倉市にある鶴岡八幡宮の御神木が倒れニュースになりましたが、その他にも日本各地には樹齢1000年を超える「大銀杏(オオイチョウ)」と呼ばれる巨樹が点在します。中には天然記念物に指定されているものもあり、1000年という長い歴史から現れる神々しさを感じさせてくれます。

北金ヶ沢のイチョウ
樹齢 推定1000年 国指定天然記念物 雄株 樹高 約40m 幹周 約22m

上日寺のイチョウ
樹齢 推定1300年 国指定天然記念物 雌株 樹高 約24m 幹周 約12m

1607年(慶長12年)、熊本城築城の際に加藤清正が銀杏の木を多数植えたことから熊本城は別名「銀杏城」呼ばれています。有事に備えて食料確保を目的として植えられたという説もあるのですが、いつの時代にも愛される木だったということですね。
また、大相撲で、十両から上の関取が結うことができる髪形に大銀杏(オオイチョウ)という髪形があります。
オオイチョウという髪型

イチョウの木

イチョウの木はどんな木?

2億年前から存在していたイチョウは裸子植物です。裸子植物とは種子を作るようになった最初の植物といわれていて、胚珠が裸出しているものを指します。また、イチョウはヤナギやソテツと同じで、雌雄異株(シユウイシュ)といって雄株と雌株に分かれています。黄葉の美しさや生命力が強く長寿ということで、街路樹として良く目にしますが、雌株の場合、種子の臭いが問題となるため、街路樹に使われる木には、雄株が用いられています。雌雄の区別がつくには発芽から十年以上掛かるため、雄株の枝を接ぎ木で増やしたものを使っているようです。
少し前に、東京都下水道局のワッペン問題が話題になりましたが、東京都のシンボルマークはイチョウの葉をモチーフにしています。また、東京都、神奈川県、大阪府で県の木、その他にも市や町の木として多くで地域「指定の木」とされていています。

イチョウという名称は、中国でイチョウの葉がカモの脚に似ていることから「鴨脚(ヤーチャオ・イアチャオ)」と表現されていて、その読み方が訛ってイチョウと呼ばれるようになったと言われています。また、ギンナンも同様で、中国で呼ばれる「銀杏(ギンアン)」が訛ってギンナンと呼ばれるようになりました。
イチョウの葉と外種子(果肉のような部分)にはアレルギーを引き起こす成分が含まれています。ギンコール酸といって、漆などと同じようにかぶれを起こすことがあります。
イチョウの効能

イチョウの葉の効能

近年、イチョウの葉に注目が集まっています。
古くは漢方として使用されていて、今では多くの国で研究されています。
皆さんもどこか聞き覚えのある名前だと思いますが、イチョウの葉には、フラボノイドという抗酸化作用成分(30種類以上)が含まれています。イチョウが紫外線や虫等の外敵から身を守る為に保有している成分で、これがイチョウの強い生命力を支えているといわれています。このフラボノイドが私たち人間にも有効だというのです。
フラボノイドは、人間の免疫力や老化防止、疾病予防に役割を果たすといわれています。人の体は絶えず代謝を行なっていますが、その時に活性酸素が発生します。体内にはそれを分解する酵素が存在するのですが、分解しきれずに残ってしまった活性酸素は人体にとって様々な悪い影響を与えます。癌や生活習慣病、老化の原因ともいわれていて、フラボノイドに含まれる抗酸化作用は、体内に発生する活性酸素を抑制する働きがあります。また、イチョウの葉特有の成分として、ギンコライドがありますが、これには、血流の改善や老廃物の排泄促進、記憶力増進効果があるといわれています。摂取方法としては、サプリメントがあげられます。葉をお茶として飲む場合は、ギンコール酸によるアレルギーを起こす可能性があるので注意が必要です。
ギンナンの効能

銀杏(ギンナン)の効能

イチョウの種子である銀杏にも効能があります。
銀杏も中国では古くから気管支系の病気に効く薬として扱われてきました。せき、たん、ぜんそくや肺結核に効果があるとされています。その他にも銀杏は栄養価にすぐれているため滋養強壮作用があり、疾病からの耐力回復の際に摂取すると効果があります。

銀杏をたくさん食べると中毒になるって聞くけど?

食べ物は何でも食べ過ぎると中毒になりますが、銀杏も食べ過ぎると食中毒を起こします。ただ銀杏の場合は、少量でも人によっては危険な場合があるということです。銀杏の中に、アミノ酸代謝に関わるビタミンB6の作用を阻害する成分(4′-メトキシピリドキシン)が含まれていて、それが脳内の神経伝達物質の生成を抑制し、中毒症状を引き起こすとされています。中毒になると、数時間後に嘔吐・痙攣・意識障害といった症状が現れます。ごく稀ですが、死亡するケースもあるということです。これには個人差が大きいとされますが、小児の場合には特に注意した方が良いでしょう。

挑戦!1分で銀杏の殻を取る

銀杏の殻はとても堅いため、拾った銀杏や殻付きの銀杏を手に入れても中身(食べる部分)を出すのに一苦労です。
包丁の背の部分を殻と殻の境に当てて叩いたり、現在は、専用の殻割りばさみを使ったりという方法もありますが、今回は最も手軽にできる、電子レンジを使って殻とりに挑戦します。

まず殻のついた銀杏と封筒を用意します。

殻のついた銀杏と封筒を用意

殻のついた銀杏と封筒を用意

銀杏を封筒に入れます。

銀杏を封筒に入れます。

 

口を2回折り、レンジに投入。40秒程度を設定し温めます。

温めはじめて15秒程するとポン、ポンと弾ける音がしてきて、封筒が膨らんでいます。30秒が経過した頃には入れた銀杏の数を弾ける音が超えて、中身が心配になったのでレンジを止めました。

封筒は弾けた時の衝撃と空気の膨張でパンパンになっています。

膨れた封筒

封筒は弾ける衝撃と空気の膨張でパンパン

早速開封。

身も弾けたギンナン

身の部分も一緒に弾けています。


レンジに掛けすぎたのか、あるいはレンジに掛けるとこうなってしまうのか分かりませんが、身の部分も一緒に弾けています。

一応、簡単に殻を取るという目的は達成しました。封筒に銀杏を入れる際に、塩を振りかけておくと効率が良いです。
焼いて食べる場合には、金槌等で叩いて殻に割れ目を付けてから、フライパンで焦げ目が軽くつく程度に焼いてください。

焼き銀杏

焼き銀杏


きれいな透明感のあるグリーンは食欲をそそりますね。太古の時代、恐竜が銀杏をつまんでいる光景を連想しながら食べると一層深みが増しますよ。
焼きギンナン

※リニューアルする前の住まいマガジンびおから珠玉記事を再掲載しました。
(2011年10月19日の過去記事より再掲載)