びおの珠玉記事

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近頃スズメを見かけなくなった。何故だろう?

雀

七十二候に、雀始巣すずめはじめてすくうという時候があり、それについて考えていて、はたと気づきました。それは、近頃スズメをとんと見掛けなくなった、ということです。そういえば、という感じで頭にのぼりました。
「びお」編集部は浜松にあり、事務所の前は佐鳴湖という湖です(2009年当時)。かつて葦が生い茂っていた湖岸はコンクリートで固められ、そうした湖が例外なく陥ることになる水質汚染の面で、全国ワーストワンの汚名を浴びている湖ですが、それでも湖岸の緑はそれなりにあり、浜松のなかでは自然のゆたかな場所のひとつです。
百舌鳥もずに生贄にされ、茨のとげに突き刺されたトカゲやバッタを見掛けることもありますし、「ヒーヨヒーヨ」と鳴くヒヨドリ、「ギャーギャー」「ギュルギュル」と鳴くムクドリも顔をみせます。足とくちばしが黄色いムクドリは、椋の木の実を好んで食べるため「椋鳥」と呼ばれるようになったと言われますが、わたしの仕事部屋に迫るように立っているニレの木に、毎日のように顔をみせ、虫をついばんでいるようで、スズメよりも多く見掛けます。
また、油断していると事務所の建物はクモが巣を張り巡らします。クモが巣を張るということは、それなりに虫がいるということです。
湖の周辺は都市化が進んで、大きな住宅団地が形成されていますが、そこここに田畑は残されています。人に近いところで生活するスズメにとって、決定的に条件が失われたとは思えません。スズメは雑食性なので、生き残るタフさを持っているはずなのに、スズメが電線に並んでさえずる姿がみられなくなったのです。
代わって増えたのはカラスです。これはスゴイ増え方です。電線という電線にカラスがいて、夕方になると、ヒッチコックの『鳥』を思わせるほどに、カラスで空が暗くなるほどです。ゴミ置き場はカラスのエサ場になっていて、グリーン色の網で覆われているのに、それをぞんざいに扱う住人の隙をみつけては、ビニール袋の穴を開け、食べ残しゴミを漁っています。

烏

湖の周辺には、野良猫がたくさんいます。保健所に持って行くよりいいと思って捨てに来る人がいるからです。しかし、ここで野良猫が生きて行くのは大変で、小さな猫はカラスに襲われ、大きな猫も痩せていて、不安げな表情を浮かべています。
それにしてもスズメの姿がみられません。これはどうしたことだろう、スズメに何があったのだろう、と思わざるを得ないのです。