色、いろいろ。

つらら

版画/たかだみつみ 文/小池一三
2011年01月20日 木曜日
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つらら版画

つららは、漢字で「氷柱」と書きます。雨雪などによって、水が軒や岩角などで雫になって落ちる時に、気温が低いと凍り、棒のように垂れさがります。同じ過程を繰り返し、しだいに太く、長くなります。垂氷(たるひ)とも言います。語源は「つらつら」の転とされ、古来は、氷など表面がつるつるし光沢のあるものを、そう呼んでいたといいます。
長いつららに成長するには、ただ極寒というだけでなく、ある程度寒暖が繰り返される状態が必要です。重力に従って真下に向かって伸びますが、気温が低く、屋根の雪に押されたり、横風が強かったりすると、つららが斜めや横へ向かって伸びる場合もあります。豪雪地帯では長さが数メートルに達するものがあり、地面に達するものも見られます。
奥秩父に「三十槌(みそつち)の氷柱」があります。このつららは見事なものでした。冬の奥秩父の尋常でない寒気が生み出した氷のオブジェというべきもので、荒川源流の岩肌から滲みでる湧水が凍って出来たものです。
独得の秩父囃子と絢爛豪華な笠鉾と屋台が曳行する秩父の夜祭は十二月初旬です。これも寒い時期のものですが、「三十槌の氷柱」は、それより一ケ月半後の寒さ一番厳しい時期に氷の花を咲かせます。ただ近年、夜にライトアップするようになって、観光的にはいいのでしょうが、それによって興が薄れたという人もいます。
そういえば、よく滑るスケートリンクの氷は氷筍(ひょうじゅん)を用いるそうですね。氷筍とは洞窟に発生する逆さの氷柱で、タケノコ(筍)のような形状をしていることからそう呼ばれます。少しずつ滴り落ちた水が凍って形成されるので、ほぼ完全な単結晶となっており、この氷筍を輪切りにしてリンクに敷き詰めます。この氷筍を入れて、ウイスキーをオンザロックで呑むといけるそうですよ。
清少納言は『枕草子』の中で「削り氷にあまづら入れて、あたらしき金鋺(かなまり)に入れたる」と書いていますが、シロップをかけた“みぞれ”を、清少納言は〈あてなるもの〉としました。宮中では、古く〈氷室の節会〉という、氷室に保存した氷を取り出す行事がありました。いわゆる「氷の朔日」をいい、陰暦の6月1日に行われた行事です。氷は臣下にも配られました。清少納言が食べた氷は、そのお裾分けの氷でした。
この「氷室の朔日」は、稲作の作業開始の基準となる日で、宮中の行事はたいてい稲作に関係していますが、それを〈歯固め〉などと呼んで(歯が丈夫になるという意)、あさましく食したところに、何ともおかしみを誘われるのは、私だけでしょうか。

御仏の御鼻の先へつららかな 一茶

一塊の軒の雪より長つらら 高野素十

いま落ちし氷柱が海に透けており 橋本鶏二

みちのくの星入り氷柱われに呉れよ 鷹羽狩行

みちのくの町はいぶせき氷柱かな 青邨 

シベリヤの氷柱となりし兵の列 田中隆

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