特集

もっと太陽熱を!

2009年02月04日 水曜日

太陽光発電だけに目が向けられるだけでいいのか?


Photo:NASA Goddard Laboratory for Atmospheres

日本が2020年までに、どの程度の温室効果ガスを減らすべきかを検討する政府の中期目標検討委員会が開かれ、政府系研究機関の試算をもとに、90年比で6%増〜25%減を目指す選択肢が示されました。
6%増で太陽光発電を現状の4倍の130万戸、4%減で太陽光を320万戸、15%減で太陽光を660万戸、風力発電を現状の10倍まで、25%減で太陽光を1770万戸、再生可能エネルギーの比重を13%に伸ばすという計画です。
これまで日本の経済界の「最大導入ケース」は4%減でした。一方、国際気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、温暖化の影響を最小限に抑えるためには、先進国全体で25%〜40%削減する必要があるとのシナリオを示していて、ドイツは40%の中期目標を掲げました。
この検討会自体は、オバマ新政権が打ち出した「グリーン・ニューディール」(緑の内需)に便乗する動きといわれ、これを伝える新聞論調は「日本の出遅れ感は否めない」としています。また、民主党は「緑の成長戦略調査会」を発足させ、次期総選挙マニフェストに、太陽光パネルの全戸設置を盛り込む計画を立てています。
いずれにしても、太陽光発電の設置拡大は、一種の国是のように活発化されることが予想されます。そこで考えたいのは、太陽エネルギー利用は光発電だけなのか、太陽熱があるではないか、その利用の促進をもっとはかるべきだと「びお」は考えました。
というわけで、きょうは「もっと太陽熱を!」という特集を組みます。

人類は、太陽エネルギーを使い切れているだろうか?

教えて太陽光発電と太陽熱利用というのは、何が違うのですか?

太陽熱エネルギー(Solar Thermal Energy)利用とは、太陽光のエネルギーが熱に変換された状態をいいます。単純な話、窓から太陽光が入って、それを浴びると暖かく感じますね。つまり、太陽光はすぐさま太陽熱に変換されているのです。外は氷点下の寒さでも、ガラスを通してお日様が降り注いでいるとホカホカと暖かいのは、太陽光が熱に変換されているからです。

教えてでは、太陽光と太陽熱の利用効率の違いは何ですか?

太陽エネルギーの利用効率は、植物の光合成で0.2%〜2%に過ぎません。技術が進歩した太陽電池は20%まで利用効率を伸ばしています。しかし、熱源としてそれをダイレクトに利用すれば、約80%位まで利用することができます。

教えて太陽光利用を代表する技術として挙げられるのは、光発電ですね。

いや、まず我々は太陽光によって、昼夜を含めて2万ルクスの照度を与えられていることを知っておきたいと思います。太陽は、地球を明るく照らしてくれている星であって、どんな人工的な照明器具を持ってしても、この太陽の明るさにはかないません。

教えてあまねく地表を照らす、天照大神(あまてらすおおみかみ)ですね。

そう。太陽神は、ギリシア神話のアポロン、エジプト神話のアテン、インカ神話のインティ、中国神話の火烏、アイヌ神話のトカプチュプカムイにも出てきて、世界どこにもあるんだね。もし太陽がなければ、この地球はまったく違う星になったことは間違いない。

アテン インティ
左:エジプト神話のアテン 右:インカ神話のインティ

教えて次々と、でましたね(笑い)。

まあね(笑い)。一つ一つ詳しく解説したいけど、やめときます(笑い)。

教えて聞きたいけど、別の機会にね。

手塚治虫の『火の鳥』は、中国神話に基づきながら、人類にとって太陽神とは何だったのか、その姿を捉えています。
太陽は地表をあまねく照らすだけでなく、地表を暖めてくれています。この地球は、酷暑・酷寒の地もありますが、平均15℃の地表温度を与えてくれています。これはどんな巨大な暖房装置を以てしてもかなわないことです(笑い)。我々人類は、まずもって生存するに足りる温熱環境を、太陽熱によって与えられていることを、改めて確認しておきたいと思うのです。

教えて分りきった話なんだけどね。

いや、分っているようで分かっていない話なのです。
というのは、我々は太陽から与えられている明るさや温度の足りない分を、電気や石油でまかなっているのであって、ほんとうの主人公が太陽であることをみんな忘れているのです。

教えてほんらい電気や石油は脇役なのに、まるで主人公のように振る舞っていると。

そうです。太陽エネルギーは、地表1㎡あたり約1キロワットも降り注いでいます。それだけのエネルギーを太陽から貰っているのです。いくら石油を燃やしても、どんなに原子力発電を行っても、そんなエネルギーをつくり出すことは所詮ムリです。

教えて逆立ちしてもムリよね(笑い)。

そう(笑い)。太陽こそ創造主であり、太陽が生み出している環境を十分に理解した上で、何が不足かを考え、それを補うという気持ちで向かえばいいのです。
  石炭、石油などのエネルギーを支配した期間は、人類6000年の歴史のなかでみれば、たかだか200年程度に過ぎません。これらは、もともと太陽を缶詰したエネルギーですが、これを燃やすと汚れが発生します。それによって、この200年間で地球環境そのものを脅かすまでに至っています。
化石燃料を燃やす時代は、これから数十年の間に終焉をむかえることになるでしょう。

教えて電力会社は、クリーンな原子力エネルギーを言っていますが。

発電に危険が伴い、放射性廃棄物を出す以上それを処理しなければならず、そのどこがクリーンといえるのでしょうか。原子力の科学者は、この地球に、永遠に燃え続けるもう一つの太陽を生むのだと思って始めたのでしょうが、どうしょうもないゴミと、危険と背中合わせの技術が、そういつまでも続くとは思えません。化石燃料が約200年の歴史だとすると、このエネルギーは、もっと短命で終わるんじゃないでしょうか。そんな予感がします。

原発
1.2号機を廃炉解体して、別に6号機を計画している浜岡原発。
廃炉解体されるものは、更地に戻すのに20年間掛るという。

人類のエネルギーの大半は、薪や炭や鯨油、菜種油など、それぞれの地域から得られるエネルギーを細々と用いて、太陽エネルギーで得られる不足分を補ってきました。それが6000年も続いたのです。

教えてでも、もうそこには戻れませんよね。

人類は20世紀文明を享受し、どっぷり首まで漬かっていて、今の便利さから抜け出せませんからね。けれども、その文明に最も授かったヨーロッパ諸国が、温室効果ガスの濃度を産業革命が始まった頃までに戻そうと動き出しました。そして、オバマのアメリカが「グリーン・ニューディール」を打ち出し、ヨーロッパに協調する動きをみせています。
  この図表は、アメリカ合衆国エネルギー省の管轄下にある、オークリッジ国立研究所(英: Oak Ridge National Laboratory、ORNL)がまとめたもので、「びお」でも、何回か掲載しているものだけど、これを見ていると、人類が石炭や石油を掘り出したことが良かったのかどうか、地球のほかの生物に対して、人類は原罪を背負ったように感じられてなりません。200年でこうなったのだから、CO2の濃度を産業革命が始まった頃に戻そうというのは、至極、当然のことだと思います。

燃料別に見る世界の二酸化炭素排出量

燃料別に見る世界の二酸化炭素排出量
全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より

教えて信じられないような曲線を描いているのね。

この大合唱の中で、日本でも太陽光発電利用を高めようという動きがでてきたのです。この大局に認識の違いはありませんが、ではどうすればということになると、いろいろ違ってきます。太陽光発電を、という今の日本の動きも、この文脈の中で起こっていることです。
しかし、何で民主党までが太陽光発電一辺倒なのか、そこがよく分りません?

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