びおの珠玉記事

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今すぐチェックだ!コンセント火災

※リニューアルする前の住まいマガジンびおから珠玉記事を再掲載しました。
(2014年03月16日の過去記事より再掲載)



「コンセントから出火するトラッキング火災に注意!」という呼びかけを度々目にすることがありますが、まあ、気をつけないと行けないなあ、という程度で済ませてしまっていませんか? 大抵は、そうなんじゃないでしょうか。

先日、このトラッキングでコンセントが発煙、溶けた、という家を訪れる機会がありました。

何か変な臭いがするなあ、と思いながらしばらく過ごしていたのですが、ある日、臭いだけでなく煙が立ち込めてきました。煙のもとはコンセントプレートでした。電気製品をみな止めたところ、発火までは至らずに済みました。(談)

発見がもう少し遅れれば発火、火災へと至った可能性が高かったでしょう。

コンセント火災

焦げたコンセントプレート


コンセントプレートは黒焦げになっています。
燃えたコンセント

焦げて崩れたコンセント


コンセントは焦げて崩れ落ちています。

トラッキング火災とは?

トラッキング火災とは、コンセントにたまったほこりが火花放電を起こし、発熱して発火に至る火災です。

コンセントの両極は絶縁されていますが、長期間差し込まれたままのコンセントに埃がたまり、その埃が湿気を持つことで、火花放電が起こります。これが繰り返されると、埃が炭化し、電流が流れるようになります。こうして両極が埃によって繋がった状態になり、電流が流れて発熱、やがて発火に至ります。冒頭のケースでは、恐らく発熱までで発見され、すんでのところで火災未満に収まった、ということのようです。

このトラッキング火災、メディアでは見聞きしていましたが、実際に起こりかけた、というのを見たのははじめてでした。

しかし、このコンセント、よくみると、いわゆるトラッキング防止として、根本がビニールコートされた仕様になっています。本当にトラッキング火災だったのでしょうか。

トラッキング火災

トラッキング防止

タコ足・容量オーバーにも注意

件のコンセントプレート全体で供給できるのは1500Wまでとなっていました。ところが、このコンセントからタコ足で配線されていた電気製品の全容量は、2000Wを超えていました。同時にいろいろなものを使うケースもあったようです。容量以上の状態で使用するとコンセントに負荷がかかり、発熱しやすくなります。今回のケースでは、この容量不足による加熱も原因として考えられそうです。

コンセントもメンテナンスを!

コンセントに差し込んでスイッチを入れれば動く電化製品。大変便利です。電化製品は増えるばかりで、ついついコンセントは足りなくなりがちです。

そうして、こんな写真の状態になってしまいます。
たこ足配線
ここにつながっていた電化製品はコンセントの容量を下回ってはいましたが、埃はちょっと溜まっていました。要注意です(これは別の物件の写真です)。

火災報知機はならなかった

消防法により、新築はもちろんですが、既存住宅にも火災報知機の設置が義務付けられています。築20年ほどのこの住宅にも、火災報知機が設置されていました。
しかし、今回の煙では、火災報知機は反応しませんでした。

火災報知機には、炎の熱を感知して警報を出す熱式と、発生した煙を感知する煙式の二種類があります。この部屋には煙式が設置されていましたが、報知器より先に人間が気がつきました。報知器が感知するほどの煙になると、もう「火事」になっていただろう、といいます。

火災報知機はハッキリ言ってカッコイイものではありません。義務付けられているのでやむを得ずとりつける、という人は少なくありませんが、このケースで、もし人が煙に気づくのが遅れ、火災報知機の感知が遅れれば、大きな惨事になったであろうことは用意に想像できます。安全装備は概して義務のために使われますが、本当は安全のためにつけられるものだ、ということを再認識しました。

一方で、トラッキング防止処理がしてあるコンセントを使いながらも、結局発煙に至ってしまった点は、安全のための装備を過信してはいけないことを強烈に示唆しています。

さて、冒頭にも述べましたが、多分、みなさんもメディアでトラッキング火災の話題を目にしたことがあるでしょうけれど、その日にコンセントの掃除をしましたか? すぐに掃除をした方は安心です。でも多くの方は、ふーん、そうなんだ、というだけの対応ではないでしょうか。
この家の人もそうだったといいます。かくいう私もそうでした。これを見たあなたはぜひ、今すぐコンセントの確認を。火が出てからでは遅いのです!