森里海の色
柿木村の一輪挿し
「サルスベリ」

百日紅 さるすべり
読んで字の如く百日もの長いあいだ花を咲かせるという百日紅。
この花も夏の花の代表だ。

透き通った白の百日紅が花を咲かせた。
白い小さな花の集まりが花姿を象っている。

七月も後半、小学校や中学校の夏休みが始まり、近所の子供たちが集まって朝のラヂオ体操が行われる。
子供たちに交じって何人かの親や老人たちも集い、普段は相まみえることのない面々が朝の挨拶を交し合い、静かな山間がこの期間この時間だけは賑やかな場となる。

一緒に体操しませんかとの誘いを受けて昨年は眠い目を擦りながら体操の輪に参加した。
よしっ、皆勤賞を目指すぞと張り切って三日は続いたけど不摂生の日々故ホントに三日坊主となった。

豚も煽てりゃ木に登るし、猿も滑って木から落ちる。

百日紅の咲く季節になったけど今年はお誘いが無かったのは言うまでもない。

著者について

田村浩一

田村浩一たむら・ひろかず
建築
1954年生まれ。株式会社リンケン代表取締役。中国山脈の辺境の地で、美しい森や川や棚田に囲まれながら木と建築の仕事を展開。山野辺の四季の移ろいを感じながら、酒を愛し、野の花を愛で、暮らしに寄り添う棲家とは何かを考えながら生活している。一輪挿しはライフワークのひとつ。