森里海の色
柿木村の一輪挿し「ネコヤナギ」

猫柳

朝散歩をする川土手で昨年から護岸工事が始まっている。
そこは速瀬と深い淵が絶妙のバランスで交わるお気に入りの川辺なのだ。

何年毎かに繰り返される増水のため人家に被害を及ぼす恐れがあるという理由で自然の土手が重機で無残に掘り起こされコンクリートブロックで覆われようとしている。
人命優先の論理の上では自然の土手の保護の声はかき消されてしまう。

春の兆しがそろそろのこの時期には土手のネコヤナギが柔らかなビロードの花穂を魅せてくれていたのに。
ネコヤナギを利用した護岸緑化が環境保全に役立っている事もお役所は知らないんだろうな。

園芸店の隅にネコヤナギの植木が並んでいたので買い求め庭に植えた。
ネコヤナギは白いものだと思っていたらピンクのものも有るのだという。

タレントの黒柳さんは白黒パンダ好きだけど、花穂の黒いクロヤナギという品種もあるのらしい。

著者について

田村浩一

田村浩一たむら・ひろかず
建築
1954年生まれ。株式会社リンケン代表取締役。中国山脈の辺境の地で、美しい森や川や棚田に囲まれながら木と建築の仕事を展開。山野辺の四季の移ろいを感じながら、酒を愛し、野の花を愛で、暮らしに寄り添う棲家とは何かを考えながら生活している。一輪挿しはライフワークのひとつ。