森里海の色
柿木村の一輪挿し「ハクバイ」

白梅

紅梅に比べて清純、楚々とした風情。
僕はどちらかというと白梅の方が好きだ。
(ウヰスキーの共には夜の梅を嗜んだりするけど。)

欅ガルテンの庭の土手に植えた摘み取り用の梅が白い花を咲かせる。

母親は年老いてからも生った実を捥いで塩漬け土用干し、紫蘇漬けして梅干を作ってくれた。
自家製の梅干はやたらと塩っぱくて酸っぱかった。
若いころはハチミツや鰹節で味付けられたスーパーに並んでいる梅干が甘くて美味しいと思う時期があったが、今は昔ながらの梅干の方が断然美味しいと思う。

しずり雪に見舞われた今年、ガルテンの梅は沢山の実を付けてくれるのだろうか。

薄曇りの朝、玄関を開けると暖かな春の風が入り込んで梅の香りが家の中を優しく包んでくれた。

著者について

田村浩一

田村浩一たむら・ひろかず
建築
1954年生まれ。株式会社リンケン代表取締役。中国山脈の辺境の地で、美しい森や川や棚田に囲まれながら木と建築の仕事を展開。山野辺の四季の移ろいを感じながら、酒を愛し、野の花を愛で、暮らしに寄り添う棲家とは何かを考えながら生活している。一輪挿しはライフワークのひとつ。