日本とはちょっと勝手がちがう、フランスのアパルトマン探し

ところかわれば

森弘子

今回のテーマは「アパルトマン探し」。前回は住まいのところかわればをご紹介しましたが、住まい探しにはどんな「ところかわれば」があるのでしょうか?

我が家は近く引っ越しを考えています。
引っ越しをしたい理由はいくつかありますが、湯沸かし器が電気式貯水タンク方式で2人続けてシャワーに入れないのが最大の理由です。アパルトマン自体の雰囲気は気に入っているのですが、設備面は少し問題があります。
今回は我が家のアパルトマン探しを実例にとりながら、一般的なフランスのアパルトマンの探し方から契約する前までをご紹介します。

1.アパルトマン情報を集める

まずは情報を集めるところから。情報収集の仕方はいくつか方法があります。

① 街の不動産屋に足をはこぶ
② インターネットで探す
③ 知人づてに探す

これらの方法は日本でも同じですね。今住んでいる我が家は③の人づてに教えてもらい、今回の家探しでは主に②を中心に、家の近くの不動産屋を一つひとつ見て回っています。

Agent immobilier à Paris

近所の不動産屋さん。日本と同じように物件情報が写真付きで掲載されている。面積や賃料はもちろん、家具付きかどうかなどの情報に加え、アパルトマンの環境負荷についても載っている。

2.選ぶ条件を決める

我が家はまずは立地を最重要条件とし、お湯が足りなくなる問題を解決すべく、常に使うぶんを沸かすことのできるガス式の物件を主に探しています。ここでは、フランスの家探しの中で、日本人がよく条件にするであろう項目を3つあげました。

①家具付きor家具なし

フランスは日本とは異なり、家具付きの賃貸も多く見かけます。フランス在住の外国人で、滞在が1〜3年と短い赴任などの場合は、家具を買わずにすむので家具付き(meublé)を選択する場合が多いようです。しかし立地や賃料に納得がいってもそもそも家具が気に入らないと候補から外れてしまいます。家具なし(vide)は家具を購入する必要がありますが、家具付きよりはやや賃料が下がるというメリットがあります。

②調理加熱機器や湯沸かしが電気式orガス式

パリのアパルトマンは現在では暖房や給湯器のほとんどが電気式。ガス式のものは稀に見かける程度です。直火で調理したい人が多い日本人にとってはガス式はハードルの高い条件です。

③バスタブありorシャワーブースのみ

こちらもお湯に浸かりたい日本人にとってはバスタブがあるかどうかは重要なポイントです。また、パリはバスルームにトイレが含まれている物件が多く、バス・トイレ別がほぼ当たり前の日本人にとっては悩ましい条件です。

これ以外にも、パリのアパルトマンは特に古いものが多いので、6階建でもエレベーターがないものもあり、エレベーター付きかそうでないかも要検討条件です。

Chauffe-eau avec stockage

我が家の電気式貯水タンク方式のタンク。料理・洗い物をしたのちに二人続けてシャワーに入れないのが問題。ちなみにフィンランドの家はアパート全体で給湯器があり熱湯にちかいお湯が無限に出てきました。

3.物件を訪問する

候補をいくつかに絞りこんだら、日本と同じように実際に内部を見てみたい物件を訪問します。ただ、日本のようにお客様が優先ではなく、どちらかといえば不動産屋の都合で訪問の日時が決まります。また人気のある物件は、自分が訪問する前後に他の借りたいお客さんが同じように内覧をしていて、ばったり顔をあわせることも珍しくありません。

L'entrée de l'appartement

内覧に訪れたあるアパルトマンは、1階にお花屋さんのあるこんな雰囲気の良いエントランスでした。

4. 書類審査を進める

訪問し、気に入れば書類審査に進みます。フランスでは基本的に家賃の3倍以上の収入があることを求められます。過去3ヶ月分の給与明細などで証明します。他には過去3ヶ月分の家賃の領収書や雇用証明書、EU圏外の外国人である場合は滞在許可証のコピーも求められます。
このあと、不動産屋を介して大家さんによる書類審査が行われ、無事通れば契約に進みます。

日本ではガス調理機器が多く、バスタブがあるのが当たり前、家具付きの物件は普通の不動産屋ではほとんど見かけません。ところかわればそれらの「あたりまえ」も実はあたりまえではないことに気づきます。
パリに住むことを想像して、ためしにアパルトマン探しをしてみると楽しいかもしれませんね。

※日本語でも検索できるパリのアパルトマン探しのサイト LODGIS