びおの珠玉記事

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春の夜の夢「そら豆と高菜の炒めもの/咸菜豆瓣」

※リニューアルする前の住まいマガジンびおから珠玉記事を再掲載しました。
(2009年04月05日の過去記事より再掲載)

咸菜豆瓣
「上海でそら豆を買う時は、日本のスーパーみたいなちょっぴりの量じゃなかったです」私が上海語を習っていたときのこと。つい話が食べ物方面の雑談に流れてしまったとき、I先生が言ったのだ。I先生は凛としてすがすがしい生粋の上海っ子。女の私もウットリするような、低めの柔らかな声の女性だ。「市場や道端では、地面に山盛りになっているのをスコップでザアッとすくって、量るんですよ。」スコップでザアッ?…そら豆を!?その瞬間から、先生の魅力的な声とフレーズが頭の中で何度もこだまして、その後の勉強がうわの空になってしまった。なんてったって私、そら豆好きなのだ。グリーンピース、スナップエンドウ、絹サヤ、春の豆類はどれも好きけれど、そら豆は格別。

そのときから、春になるたび「スコップでザアッと」やったくらい存分に、そら豆を食べたいと思うようになってしまった。せめて年に一度くらいは。
その気持ちを満たすのがこれ、「そら豆と高菜の炒めもの」である。中国語だと「咸菜豆瓣」。これは私にとっては、かなりぜいたくな料理である。なぜなら東京ではそれほど安くないし、そもそもそら豆はほとんどがさやで、中身は少しなのだから。

つくりかた

そら豆2.5キロ
(1)2.5キロのそら豆を買った。むくとこのくらい。2キロを「炒めもの」に、残り0.5キロは中華風の「そら豆の炊き込みご飯」にまわす。
そら豆炒め
(2)本来は、生のまま薄皮をむき、150ccほどの油がぬるいうちから入れて、油で煮るように弱火で炒める。火が通ってきたら細かくくだく。そうすると油を吸い切ったそら豆がそれはそれは旨いのだが、我が身の豊満な腕や背中を思うと、そのう…油は控えめにしたい…のである。それに、生の薄皮はむきづらい。

それで、邪道だけれど先にサッと色よくゆでてから、薄皮をむき、鍋に入れる。もう火が通っているから木べらやおたまの背で大雑把にくだくことができる。そこへ、全体にうっすらまぶすように、油大さじ2〜3を回しかけてよく混ぜ、馴染ませる。(油の量は様子を見て必要なら増やす。)ここで、おもむろに点火。弱火で焦がさないように炒める。あまり細かくしすぎると、あんこのようで食感が楽しくない。
油で煮る様に炒める
(3)全体に火が通り油が十分に馴染んだら、みじん切りにしておいた高菜80グラムを投入。よく混ぜたら、出来上がり!

煮物は「スペアリブの塩豚と新じゃがの煮物花椒風味」、サラダは「ウドとかぶ、春野菜のサラダ」。

そら豆の炊き込みご飯
こちらは中華版「そら豆の炊き込みご飯」。