森里海の色
木版画が彩る世界「ヒルガオ」

梅雨明けの報が届きはじめています。梅雨があけると南の温風が吹き込み、夏らしい季節になってきます。そんな夏にピッタリの版画が届きました。アサガオ? いいえ、ヒルガオです。


 
アサガオは小学生の時に栽培させられるので、多くの人の記憶に残っているであろう、メジャーな園芸品種である。
それでいて、朝咲いた花がすくしぼむ、という儚さも日本人好みだ。

ヒルガオは、咲いた花が、日が落ちるころまで開いている。だからヒルガオ、なわけだけど、アサガオに比べて儚さが足りないからか、種が採れずに小学生が育てられないからか、雑草扱いだ。

けれど、植物の科としては、アサガオもヒルガオも、ついでにいえばヨルガオも、ヒルガオ科なのだ(ちなみにナス目)。
つまるところ、本来はヒルガオがメジャー種なのだ。

万葉集に「容花(かほばな)」を詠んだ歌が4首ある。「容花」が何の花なのか諸説あるが、ヒルガオ説が強い。かつて、ヒルガオが美しいと考える社会があった。

アサガオは園芸品種だから美しい、ヒルガオは雑草だから美しくない。そんなふうに、「分類」はいつしか「レッテル」に変わる。

レッテルというのはもともと分類用のラベルだから、まさに正しいのだけど。そういうことばかり言っていると、あいつは屁理屈ばかりだ、というレッテルを貼られる。

僕のレッテルはこの際いいとして、ヒルガオのレッテルを、なんとか剥がしてやりたい。大きなお世話、なんだろうけど。

文/佐塚昌則