森里海の色
四季の鳥「シロハラ」

落葉をはねのける鳥

前回ご紹介したツグミのいた公園にはツグミの仲間が他にもいます。開けた運動場の周りは落葉樹の林になっています。林の中を耳をすませて注意深く歩いていると、カサコソと落葉を夢中になってはねのけている鳥がいます。シロハラです。シロハラは落葉の下にいる昆虫やミミズ類を探していたのです。冬の時期、鳥を探して林道を歩いていると、ツイーやジャジャジャとけたましい声を上げ、こちらが気が付く前に飛び立ってしまう警戒心のとても強い鳥ですが、地上で落葉をはねのけている時は集中のあまり警戒心が薄れてしまうのか、案外近くで観察することができます。

シロハラは夏の繁殖期には主に中国東北部やサハリンで過ごし、11月になると日本の本州以南に訪れる冬鳥で、5月半ば辺りまで農耕地や公園で見ることができます。訪れたばかりの時は樹上でムクノキ、ピラカンサ、カラスザンショウといった植物の実を食べているのを見かけることがありますが、その後は地上で採餌しているのを見る機会のほうが多くなります。
白腹

同じ公園内でもツグミは開けた場所、シロハラは林縁と棲み分けていますが、喧嘩を目撃したこともあります。地上で採餌していたシジュウカラやヒヨドリを追っ払ったり、庭の餌台に置いた脂身をムクドリと取り合ったりと、なかなか気の強い鳥です。春、キョロンキョロンツリーと可愛い声で囀るようになると、そろそろシロハラともお別れです。

著者について

真鍋弘

真鍋弘まなべ・ひろし
編集者
1952年東京都生まれ。東京理科大学理学部物理学科卒。月刊「建築知識」編集長(1982~1989)を経て、1991年よりライフフィールド研究所を主宰。「SOLAR CAT」「GA」等の企業PR誌、「百の知恵双書」「宮本常一講演選集」(農文協)等の建築・生活ジャンルの出版企画を多く手がける。バードウォッチング歴15年。野鳥写真を本格的に撮り始めたのは3年前から。