森里海の色
四季の鳥「シメ」

ニッパーのような大きな嘴

今回、ご紹介する鳥はシメという鳥です。体長18センチほど、スズメよりやや大きな鳥ですが、太っちょで尾羽も短いのでかなり大きく見えます。写真は雄のシメです。いい面構えでしょ。押し出しが強く悪そうに見えるけれど、それがかわいい。私が大好きな鳥です。

シメは北海道や青森の低山の林で繁殖していますが、私が住む神奈川県下には10月下旬になるとやってきて、5月上旬まで滞在する鳥です。雄の頭部と頬は茶褐色、胸は淡褐色、背は暗褐色、翼は青黒色、目先は黒。地味な色合いの鳥ですが、ご覧の通りとても美しい鳥です。雌は雄に比べて全体に色が淡く、次列風切羽に灰色の箇所があることで区別がつきます。

鴲、蝋嘴鳥

どうしてシメと呼ばれるのでしょうか。かなり古くからある名前ではないかと気になって調べてみました。バードウォッチングをしていると、冬枯れの高木の梢に1羽の小鳥が止まっていて、シー、あるいはチィーと鳴いて波状に飛び立ち、その時に翼の白い模様からシメだとわかることがあります。シメの「シ」は、この鳥の地鳴きがシー(チィー)と聞こえ、「メ」は小鳥を表現する接尾語で、江戸時代にはシメという名前に定まっていたようです。

暖かな陽気の休日、バードウォッチングに行った近くの公園でシメを見つけました。人通りの絶えない公園の舗装道路の脇にシメは降りて、なにやら採餌しています。遠くから観察していると、人が通ると木の上に逃げますが、いなくなるとまた道路に降りて食べ始めます。フィールドスコープを覗くと、シメが食べていたのは黒っぽい種で、嘴の中で回しながら嘴の付け根で種を割って嘴の端から殻は捨てています。シメの嘴は内側に湾曲しており、縁がとても鋭利になっています。シメが去った後に食べていたものを探すと、その種は頭上に枝を広げるヤマモモで、生け垣と舗装道路の境の地面にたくさん落ち、シメがはき出した種の殻も落ちていました。殻はきれいに二つに割れています。シメが口の中で舌を使って種を回していたのは、割るのにちょうどいい部分を探していたのでしょう。わたしも種を拾って試してみましたが、とても硬くて歯の悪い私には割れるものではありませんでした。

トレードマークであるニッパーのようなピンクの嘴が鉛色に変わる頃、シメは繁殖地である北の地に帰って行きます。



真鍋弘

真鍋弘  まなべ・ひろし編集者

1952年東京都生まれ。編集者。東京理科大学理学部物理学科卒。月刊「建築知識」編集長(1982~1989)を経て、1991年よりライフフィールド研究所を主宰。「SOLAR CAT」「GA」等の企業PR誌、「百の知恵双書」「宮本常一講演選集」(農文協)等の建築・生活ジャンルの出版企画を多く手がける。バードウォッチング歴15年。野鳥写真を本格的に撮り始めたのは3年前から。