森里海の色
四季の鳥「コマドリ」

深き山を好むシンガー

駒鳥や霧藻のいろの夜明雲 岡田貞峰
駒鳥の声ころびけり岩の上 園女

ヒーンカララララ……。初夏の夜明け間もない頃、奥日光や富士山麓を歩いていて、コマドリの力強い囀りをこれまで何度も聴いてきました。立ち止まり、辺りくまなく探しますが、その姿を見つけられないことがほとんどです。
コマドリは動物食。地上近くで昆虫類やクモ、ミミズなどを餌取するコマドリは、その好む環境が林床に笹など下草が生い茂った場所なので、声はすれども姿は見えず。なかなか姿を現してくれないバードウォッチャー泣かせの鳥です。

駒鳥

囀りが美しいので、ウグイスやオオルリと共に日本三鳴鳥の一つとされます。馬のいななきに似ていることからコマドリと名が付きましたが、よく響くのはヒーンよりカラカラカラのほうです。夏季に繁殖のために日本やサハリン、南千島にやってきて、冬には中国南部に南下して越冬します。
大きさはスズメ大。雄は頭部から上胸にかけて赤橙、体上面の羽衣や翼、尾羽は褐色、下胸から腹部にかけて灰色をしており、嘴の色は黒。雌は頭部から胸にかけて褐色で、雄よりも地味な色彩です。
今年、GWの後半にようやくコマドリを撮影することができました。富士山麓で車中泊し、夜明け前にかじかんだ手で三脚を担ぎコマドリの撮影ポイントへ急ぎました。この日、コマドリは5時半を過ぎた頃に私の前に現れてくれました。
コマドリは魅力的な求愛ダンスをします。雄が雌の前で頭を下げ、尾羽を扇型に広げ、翼を半開きに振るわせ、小さく鳴きながらその場で一回転するそうです。ぜひ一度観てみたいものだと思っています。



真鍋弘

真鍋弘  まなべ・ひろし編集者

1952年東京都生まれ。編集者。東京理科大学理学部物理学科卒。月刊「建築知識」編集長(1982~1989)を経て、1991年よりライフフィールド研究所を主宰。「SOLAR CAT」「GA」等の企業PR誌、「百の知恵双書」「宮本常一講演選集」(農文協)等の建築・生活ジャンルの出版企画を多く手がける。バードウォッチング歴15年。野鳥写真を本格的に撮り始めたのは3年前から。