森里海の色
四季の鳥「キビタキ」

広葉樹の緑に映える黄色

GWまで間もない時期、私が住む地域の林道にもやってくる美しい鳥がいます。ピーリピッ ポピピピ、ポッピリリ、ツクツクオーシ。新緑の森の中に響く複雑なさえずりは既にご紹介したオオルリと双璧をなす美声。声の主はキビタキという鳥です。神奈川県下では4月から8月にかけて山地から丘陵地の落葉広葉樹の林で広く見られるバードウォッチャーに人気の鳥です。
キビタキはスズメよりもすこし小さなサイズ。雄の上面は黒で、翼に白斑があり、眉斑は黄色、喉は橙色、腰と下面は黄色をしています。それに対して雌は全体にオリーブ褐色、喉とお腹は淡色で、雄に比べてずっと地味です。
数年前のちょうど今頃、起伏のある落葉樹の森の中を一人でゆっくりと歩いていました。オオルリのさえずりが止んでしばらくすると、今度はキビタキが鳴きだしました。歩を止めて鳴き声のする方向を見当付け、また歩き出します。目の隅に黄色いものを感じて双眼鏡を覗くと、「いた、いた!」。掲載した写真はその時撮影したものです。

黄鶲

撮影していると、小学生のバードウォッチャーが神妙な顔をして話しかけてきました。「頭の上のほうにセンダイムシクイがいます」「そうだね。鳴いているね」「クロツグミは見ましたか?」「まだ見ていないけど夕方に見られるかもしれないよ」「ありがとうございます」
その日、それまで誰とも口をきいていなかったこと、少年バードウォッチャーとの二言、三言で気分がとても良くなった一日だったことを写真を見ると思い出します。



真鍋弘

真鍋弘  まなべ・ひろし編集者

1952年東京都生まれ。編集者。東京理科大学理学部物理学科卒。月刊「建築知識」編集長(1982~1989)を経て、1991年よりライフフィールド研究所を主宰。「SOLAR CAT」「GA」等の企業PR誌、「百の知恵双書」「宮本常一講演選集」(農文協)等の建築・生活ジャンルの出版企画を多く手がける。バードウォッチング歴15年。野鳥写真を本格的に撮り始めたのは3年前から。