森里海の色
四季の鳥「ビンズイ」

松の林床を好む鳥

冬から春にかけてバードウォッチングをしていて、松林があると必ず「いるかなあ」と双眼鏡を向けてみる、そんな松の林床を好む鳥がいます。ビンズイという鳥です。松林ならどこでもいいかというとそうではなく、林床に背の高い草が生えている環境はだめで、林床が芝生や松葉に覆われているようなところです。ビンズイが林床に落ちた松かさに嘴を差し込んで採食しているところを観察したことがありますが、不思議なほどビンズイを見つけるのは松林なのです。
ビンズイは全長16センチ弱、スズメより少し大きな鳥です。スズメとは歩き方が異なり、両足を交互に出して歩きます。スズメのように両足を同時に出す歩き方をホッピング、交互に出して歩く歩き方をウォーキングと言いますが、セキレイの仲間であるビンズイはウォーキング派です。
頭から体の上面はオリーブ色に不明瞭な黒褐色の縦斑、白い眉斑があり、胸から腹にかけて白に黒褐色の縦斑が目立ちます。ビンズイとよく似た鳥にタヒバリがいますが、タヒバリの生息環境は田畑などの開けた環境であること、体の上面の色がビンズイほど緑がかっていなく黒っぽいこと、ビンズイにある耳の辺りの白斑がタヒバリにはないことから判別することができます。

木雲雀

ビンズイを平地で見かけるのもそろそろ終盤。ビンズイは繁殖地である山地に移動していきます。初夏、富士山麓や奥日光などに行くと、高い木の枝の上で雄が盛んにさえずり、枝から枝に鳴きながら移動するのを観察することがあります。ビンズイにはキヒバリという別名がありますが、こうした行動を見ると「なるほど!」と納得できます。
ビンズイという名前はどこから来たのでしょうか。歌人であり日本野鳥の会の創始者である中西悟堂がビンズイのさえずりを「ビンビンツイツイ」と聞きなしたことからと言われていますが、確かにビンズイの複雑で美しいさえずりの最後には「ツイツイ」という音が入ることがありますが、「ビンビン」は聞いたことがありません。



真鍋弘

真鍋弘  まなべ・ひろし編集者

1952年東京都生まれ。編集者。東京理科大学理学部物理学科卒。月刊「建築知識」編集長(1982~1989)を経て、1991年よりライフフィールド研究所を主宰。「SOLAR CAT」「GA」等の企業PR誌、「百の知恵双書」「宮本常一講演選集」(農文協)等の建築・生活ジャンルの出版企画を多く手がける。バードウォッチング歴15年。野鳥写真を本格的に撮り始めたのは3年前から。