冬の住まい
空気の流れ
冬至は、一年のうちで最も太陽高度が低くなり、昼の長さが一番短い日です。
太陽高度は、地域によって異なります。東京でいうと、緯度は北緯35.5度、これに地球の傾きの23.5度をプラスし、90度を引くと31度になります。それが冬至の東京の南中高度です。断面図は、冬の日差しが部屋の奥まで達していることを示しています。
日本の冬は、北ヨーロッパの寒さ
壁の厚さの違い
ドイツなど、北ヨーロッパの住まいで特徴的なのは、壁の厚さです。レンガを積んだ組石造の家は、レンガをタテ方向に2枚(50㎝)も用います。
その1枚分を刳り抜いた壁面の窪みはニッチと呼ばれます。小さな彫刻などが置かれます。壁が50㎝もあるから可能なことで、日本の真壁造りの家では、壁を突き抜けてしまいます。
最近の大壁造りの家でも、柱の太さが120㎜角だとして、外側の下地木材は15〜20㎜、外壁材は12〜25㎜、内側に石膏ボードのクロス仕上げで1㎜、全部あわせても148〜166㎜に過ぎません。
ドイツの寸法もメートル法です。しかし家の面積の考え方が違います。日本の真壁の家は壁芯で測ります。壁の厚さの中心線が、部屋の寸法を測る基準です。
それに対してドイツの住まいは、壁の内側で測ります。日本の壁は薄いので、この測り方でよかったのです。また、畳みの枚数で部屋の大きさをつかめましたので不便さも感じませんでした。
木の家と石の家
世界の70%の人は、レンガ・石を積んだ“組積造”の家に住んでいます。これを一括りに「石の家」とすると、その建築はひたすら石やレンガを積むのが基本です。この建築の悩みは窓を設けることで、窓は「穿つもの」という気分が多分にあって、要するに穴を開けるものでした。
石の建築史は、窓との苦闘の歴史でした。その結果生まれたのがアーチの技法です。石の建築が、崩壊という言葉で表わされるのに対し、木の建築は、倒壊という言葉で表わされます。しかし、柱間は空いていますので、いくらでも大きな窓をつくることができました。
石の建築は、打撃を受けると崩れます
ので、地震の多発地域では不向きです。明治期のレンガ建築は関東大震災によってほとんど潰れたことが、それを表してます。また、大きな窓がつくれるのは、高温多湿の日本では有利でした。湿気を含んだ高温の空気を除去するのは、通風が一番ですので。
石の家は熱容量が大きい
ドイツの50㎝のレンガ壁は、熱容量が大きいのが特長です。熱容量の大きな家は、1度温めると冷えにくい性質を持っています。
北ヨーロッパでは、秋が深まると暖房を入れ、4月の終わりまで暖房の火を消しません。暖房方式は、低温水(60℃未満)循環式により、都市集中暖房によってシステム化されている場合が多く、暖炉や薪ストーヴなどの直火は、最近では生活を愉しむためのものとされ、局所暖房の範囲のものになっています。
体感温度の6割くらいを、彼らは輻射熱から得ているといわれます。この間接暖房のベースとなっているのが、熱容量のある壁です。
今回、びおハウスが用いる木繊維断熱材は、北ヨーロッパで発達した断熱材で、ここ五年ほどの間に急速に普及しました。石油系の断熱材と比較すると、約5倍の熱容量を持っています。彼らは、熱容量が大きな意味を持っているか知るが故に、この断熱材を選んだのでした。
日本の暖房は、熱容量が乏しいため、これまで直接暖房・間欠(点けたり消したり)暖房にならざるを得ませんでした。びおハウスは、家全体を保温する住まいをつくろうと知恵を絞りました。