色、いろいろの七十二候

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水泉動・七草粥

七草粥
こよみの色
小寒
裏葉色うらはいろ #C1D8AC
・木の葉や草の葉裏のような渋くくすんだ薄緑色。繊細な感受性が生んだ名。しめ飾りの裏白の意は「夫婦白髪まで共に」への願い。
水泉動
新橋色しんばしいろ #59B9C6
・明治中期に欧米から化学染料が輸入され、後期から東京の新橋芸者の間でハイカラな色として大流行した明るい緑がかった浅鮮やかな青色のこと。
当時は新橋が実業界や政治家が訪れる振興の花柳界であり、そこの芸者衆に愛好された色ということでこう呼ばれました。芸者衆の置屋が金春こんぱる通り(銀座八丁目あたり)にあったことから、別名「金春色」とも呼ばれました。
それまでの植物染料では発色が不可能だった鮮やかなブルーが、人々の目に新鮮に映りハイカラな色として人々の生活に潤いをもたらしました。

七草粥は、五節句の一つ、人日の節句に食べられるお粥です。
五節句は、このほかに三月三日の上巳の節句、五月五日の端午の節句、七月七日の七夕の節句、九月九日の重陽の節句です。
五節句は、6世紀の中国で記された「荊楚(けいそ)歳時記」によって日本に伝えられました。
それによると、

正月七日を人日と為す。七種の菜を以てあつものつくる。

とされています。人日の朝に七種の菜を食べることで、無病息災を願ったといわれています。

この「七種の菜」が、いまの七草と同じだったかどうかはわかりませんが、現代の七草粥も、正月に乱れがちな健康を整えるのに役立っています。お節料理やお酒で疲れた胃を休め、不足がちの野菜を補います。

さて、今回はいつものコラムだけでなくて、七草粥をつくるときのお囃子をうたってみました。

歌詞は地方によって様々なようですが、多くの地方で共通しているのは「唐土の鳥」が、日本に来ないうちにやってしまおう、という内容です。

唐土の鳥、というのは、先の「荊楚歳時記」にある「人日の夜に鬼車鳥の渡るもの多く、家々床を槌ち戸を打ち」から来ているようです。

「鬼車鳥」というのは、文字からしてずいぶん禍々しい感じがします。中国に伝わる怪鳥で、人の魂を食べるとか、不幸をもたらすといわれています。この鳥が人日の頃にやってくるので、床や戸を打ち鳴らして追い払う、ということだったようです。

七草囃子も、この恐ろしい鳥が中国から渡ってくるのをはらうという意味が込められているようです。地方によっては、歌詞の中に「七草たたく」とか「七草たたけ」といった言葉も入っていて、「ストトンストトン」という言葉とあわせて、追い払うための音を出しました。

大きな声でお囃子を唱え、大きな音で七草をたたくことで、近所に七草粥を作っていることが伝わるほどだったようです。七草粥も一種のコミュニケーションツールだったというわけです。

都市部でも、そしておそらく地方でも、今ではそうした風習はほとんど見られなくなっているでしょうけれど、七草粥を食べる風習は残っています。

せっかく七草粥をつくるなら、一年に一度のことですから、ちょっと恥ずかしい気持ちも捨てて、お囃子を唱えてストトンストトンと、七草をたたいてみませんか。
モノだけ食べるよりも、きっと面白くなりますよ。

※リニューアルする前の住まいマガジンびおから再掲載しました。
(2015年01月06日の過去記事より再掲載)