色、いろいろの七十二候

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金盞香・ひなたぼっこ

ぽかぽかひなたぼっこ
画/いざわ直子
こよみの色
立冬
黄蘗色きはだいろ #FEF263
・ミカン科のキハダの樹皮で染めた、鮮やかな黄色。その歴史は奈良時代に遡る色。
金盞香
黄土色おうどいろ #C39143
・茶色がかった黄色。帯黄の土を精製してできた顔料。人類最古の顔料の一つ。絵の具や壁の塗装などに用いられてきて、英名はイエローオーカーとして馴染み深い。奈良時代の『正倉院文書』にも壁色として記されている。

二十四節気は立冬を迎えました。暦の上では冬、とよく表現されます。「四季」とはいえ、ある日から急に季節がはっきり切り替わるものではありません。その気配をすこしずつ忍ばせながら変わっていくものですが、「冬が立つ」、立冬からは、冬の気配が目立つようになってきます。

寒さの忍び寄ってくる初冬にも、なんとも気持ち良い陽射しに恵まれる時があります。
これを「小春日和」といいます。旧暦10月は「小春」とも呼ばれ、その頃に見られる、春のような日を指します。

冬は東に低気圧、西に高気圧がある西高東低の気圧配置がよく現れます。この気圧配置では、北西の風が吹き、太平洋側では雨が少なく乾燥した天気に、日本海側では雪を降らせます。

こうした冬型の気圧配置のなか、時として大陸からやってくる移動性高気圧に覆われると気温があがり、まるで春のような日がくる、というのが、小春日和の正体です。

秋から冬にかけては、夏に比べて太陽高度が低くなり、日射時間は短くなりますが、日が出ているときの日射量自体は、冬でもそれほど少なくはなりません。
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が、各地の日射量を把握するためのデータを公開しています。どんな方位・角度ではどのぐらいの日射が得られるのかがわかります。

太陽光発電は、日射を電気に変換するものです。電気エネルギーは利便性が高いことはいうまでもありませんが、一度電気に変換して、そのエネルギーで暖房するよりも、太陽熱をそのまま住まいに取り込んで暖房に用いよう、というのが、パッシブソーラーと呼ばれるものです。

室内に直接あたる日射を蓄えたり、屋根や壁で集熱した空気を床下のコンクリートに送り込んで蓄熱するような「空気集熱式」と呼ばれる手法もあります。エネルギーの削減になるのはもちろん、太陽の熱をそのまま家に取り込む、ひなたぼっこのような暖かさが嬉しいしくみです。

小春日や 石をかみいる 赤とんぼ  村上鬼城(きじょう)

赤とんぼの成虫は、越冬できません。秋から冬へ、生命のリレーを終えたであろう赤とんぼが、暖かさを噛み締める様子は、微笑ましくも、物哀しいものです。

この句は、冬の季語である「小春」と秋の季語である「赤とんぼ」の季重なりではありますが、冬を迎える中にある小春の様子を克明に表しています。

玉のごとき 小春日和を 授かりし  松本たかし

松本たかしは能役者の家に生まれ、幼くして舞台を踏むも病によってその道を断念し、高浜虚子に師事し俳句の道に進みます。

そうした松本だからこそ「玉のごとき」に込められた思いが伝わります。

※リニューアルする前の住まいマガジンびおから再掲載しました。
(2012年11月07日の過去記事より再掲載)