色、いろいろの七十二候

33

蟋蟀在戸・衣替え

衣替え
画/いざわ直子
こよみの色
寒露
コスモス色  #F85CA2
・秋桜の字が当てられ、花弁は紫がかったピンク。明治20年頃渡来したといわれる。
蟋蟀在戸
葡萄色えびいろ #915C8B
・山葡萄の実のような渋い紅色。「えび」は山葡萄の古名。葡萄葛 (えびかずら)のことを指す。『海老色 (えびいろ)』と区別するように「ぶどういろ」と呼ばれるようになったのは江戸中期頃から。

一般的に、10月から衣替え、夏服から冬服へ、という官公庁や職場・学校が多いようです。暑さ寒さも彼岸まで、とはいうものの、この10月1日(2012年時)には、真夏日を観測した地点が51地点を数え、また42地点では、10月の観測史上最高を記録しました。長い夏が終わると、秋を飛び越え、冬がやってきてしまうような気さえします。

衣替えの由来は、平安時代の宮中行事にある「更衣(こうい)」であるといわれています。江戸時代には夏冬だけでなく、年4回の衣替えが定められていました。
元々は、季節にあわせる、という目的ではじまったものであるのでしょうが、いつしか行事として、また作法として定着しています。茶道では、夏に用いる、客人から炭を遠ざける「風炉」から、炭が近く暖もとれる「炉」に入れ替えます。
更衣も、また茶道の例も、自分が暑い、寒いから、というよりも、相手への礼儀・もてなしとしての、夏冬それぞれのしつらえがあるのです。

ひるがえって昨今の私達の暮らしを見てみると、暑いから、寒いから、という自分の欲求が中心に動いているようで、それはやわらかな個人主義であって喜ばしいとすべきなのか、謙遜と礼儀が失われてきていると嘆くべきなのか。

少し別の視点から言えることは、夏にも冬にも、エネルギーの問題は引き続き解決されたわけではなく、暑い服装を誤魔化すために、冷房をつけて周囲に熱を振りまいたり、寒いのに薄着で暖房をどんどん使う、ということは、現代の作法としてはいかがなものか、ということです。

夏冬は温度差・湿度差が大きく、太陽高度もずいぶん違います。
夏はインドシナ並に暑く、冬は北ヨーロッパ並に寒い、日本列島。日本は南北に長く、北海道と沖縄ではずいぶん気候はことなりますが、それでも夏と冬の間には、かなりの温度差があります。

8月の世界の気温1月の世界の気温

夏はすだれで日射を遮ったり、冬の日中は、窓から日差しを取り入れたり、という住まいの衣替えは、快適な温熱環境をつくる、という自分の欲求を満たすと同時に、今のところ限られているエネルギーを大切に使う作法としても、また重要ではないでしょうか。

※リニューアルする前の住まいマガジンびおから再掲載しました。
(2012年10月08日の過去記事より再掲載)