色、いろいろの七十二候

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蟄虫坏戸・衣替え

衣替え
こよみの色
秋分
真朱まそお/しんしゅ #EC6D71
・ややくすんだ朱色。硫化水銀鉱物から作られる天然(真朱)と硫黄を混ぜた人造(銀朱)のある朱色。本来は前者で、銀朱より深く赤みが強い。
蟄虫坏戸
茜色あかねいろ #B7282E
・アカネの根から採った染料の染色で、やや黄色みを帯た暗い赤色。人類最古の植物染料の一つ。真っ赤な夕焼け空の「茜色の空」と言われる色。

二十四節気は秋分、昼と夜の長さが同じになる頃です。
太陽が真東から昇り、真西に沈みます。秋分はお彼岸の中日でもあります。真西の日没に、西方浄土を重ねあわせ、先祖供養をする風習が出来たといわれています。
彼岸、という言葉は、サンスクリット語の「paramita」が語源になっています。「paramita」ではわからなくても「波羅蜜多」と書くと気がつく人も多いかもしれません。仏教を意識することが少なくても耳にする機会が多い「般若心経」の「般若波羅蜜多心経」の略称です。この「波羅蜜多(paramita)」は、悟りを開いた、智慧ちえが完成した、といったような意味を持ち、「至彼岸とうひがん」と訳されました。彼岸とは、私たちの暮らす煩悩にあふれた「此岸」に対する「あちら側」の世界として区別された呼び方です。

その語源からすると、「秋の彼岸」という言葉は、なんだかちょっとおかしいような気もしますが、「お彼岸」というと、「あちら側」ではなくて、春と秋の法要そのものを指したり、時期を指したりということになっています。

暑さ寒さも彼岸まで

時期を表す典型例として「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があります。

太陽と地球の位置関係によって、年によってズレが生じますが、概ね春の彼岸は3月21日ごろ、秋の彼岸は9月23日ごろです。

東京の平年値を見てみると、9月上旬の最高気温が29.5℃、中旬は27.3℃、そして下旬は24.8℃と、彼岸の頃から過ごしやすい気温になっています。
3月の最低気温は、上旬4.3℃、中旬5.6℃、下旬が6.8℃。9月の最高気温ほどではないにしても、寒さが和らいできていることが、数値上は見て取れます。

ただ、実際はどうでしょう。環境省は、2013年度の「クールビズ」期間を、5月1日から10月31日と定めていました。10月下旬は先の平年値の最高気温は20.3℃で、冷房がいるような期間でもないはずですが、都市部はヒートアイランドで局部的に暑く、また屋内も、外部との応答を遮断し、閉ざしきってしまえば内部発熱でまだ暑く、本来の自然の季節とは違った室内気候が出来てしまっているのではないでしょうか。昨年のウォームビズは、11月1日からと呼びかけられていました。クールビズが終わった翌日がウォームビズとは、なんとも直線的な思考だといいたいところですが、確かに秋は短くなっている、そんな気もします。

衣替え

人は本来恒温動物で、汗をかくなどして体温をコントロールします。そのための汗腺は、三歳までにどれだけ汗をかいたか、で決まるといわれています。
汗をかくことが嫌われる社会にあって、その重要さは見落とされがちですが、エアコンの冷房環境下でずっと過ごしている人は、自分の身体の放熱がうまくできなくなって、結局それでまたエアコンに頼る、という悪循環ともいえる現象が起きています。
そんなことも踏まえながら、子どもの毎日に服を選んであげるのは、親の悩みでもあり楽しみでもあります。
もう着られないはずの子ども服も、なかなか手放すことが出来なくて、そうして家族は「収納」という言葉と戦い続けていくことになります。

クールビズの翌日がウォームビズ、とはっきりわけられてはいるのですが、実際の衣替えのタイミングは難しく、それほどきっちりやらなくてもいいじゃないか、という人もいます。それでも秋分の日を境に、日は短くなり、冬は確実に迫ってきます。
住まいに目を転じれば、夏の日差しを遮っていた緑のカーテンやすだれ、よしずを片付ける、といった実用面・外部の衣替えもさることながら、調度品を置き換えたりといった内部の衣替えも楽しみたいものです。「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉には、その日からモードを切り替えよう、という掛け声の要素も含まれていたのかもしれません。

※リニューアルする前の住まいマガジンびおから再掲載しました。
(2013年09月23日の過去記事より再掲載)