色、いろいろの七十二候

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禾乃登・今年もドラマが生まれた甲子園

今年もドラマがうまれる甲子園
画/いざわ直子
こよみの色
処暑
萱草色かんぞういろ #F8B862
・黄みがかった橙色のこと。萱草の花の色から名付いた。萱草の別名は忘れ草といい、平安時代は忌事に用いる凶色であった。
禾乃登
黄丹おうに/おうたん #EE7948
・くちなしの下染めに紅花を上掛けして染め重ねられたあざやかな赤みの橙色。日本の皇太子の袍に用いられる黄赤色。昇る朝日の色を写したとされる。皇太子の位色であることから、他人は着用できない禁色とされた。

春のセンバツと、夏の選手権の2つの「甲子園」がありますが、「甲子園」と聞けば、夏の大会を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
夏の甲子園大会の歴史は古く、前身となる全国中等学校優勝野球大会は1915年から開催され、第10回大会となる1924年から甲子園球場で開かれるようになりました。その後、戦争の影響で一旦中止となるものの、今に至るまで高校野球の頂点であり続けています。

趣味や娯楽が多様化・分散化し、プロ野球は、かつてのような国民的人気とまでは言えなくなりましたが、高校野球には、プロ野球にはない独特の人気があるようです。

郷里の代表が戦うということ。一度でも負ければ、それで終了という儚さ、必死さが、高校野球の人気の背景にあるのでしょう。
同じ野球であっても、プロとアマ、大人と高校生、そして日米での違いもあります。

かつてプロ野球・ヤクルトスワローズに1年だけ在籍したボブ・ホーナー選手は、アメリカに帰国後、「地球(アメリカ大リーグ)のウラ側にもうひとつの違う野球(ベースボール)があった」という本を出版しました。
日本の集団型練習や戦術、そしてマスメディア報道の彼我の違いに戸惑いを覚えたようです。当時、まだ日本人選手が米大リーグでプレーすることは一般的ではありませんでした。今では多くの選手が渡米し活躍しています。「野球」と「ベースボール」の違いが、埋まってきているのかもしれません。

九つの 人九つの あらそひに
ベースボールの 今日も暮れけり  正岡子規

子規は、体を壊すまでは自らも野球に熱中し、野球に関する歌も多く詠むなど、野球の普及に多大な貢献をしたとして、2002年に野球殿堂入りしています。

子規が詠んだ「九つの 人九つの あらそひに」は、当時まだ訳語がなかったために「ベースボール」と続いていますが、そこにあったのは、高校野球に残された「野球」の色を強く感じます。

来年はどんなドラマがうまれるのでしょうか。

※リニューアルする前の住まいマガジンびおから再掲載しました。
(2012年08月22日の過去記事より再掲載)