色、いろいろの七十二候

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涼風至・うろこ雲

うろこ雲版画
こよみの色
立秋
露草色つゆくさいろ #38A1DB
・露草の花のような青色のこと。万葉人は、露草の花を擦った汁を、衣を染める他、染色の下絵を描く際に用いた。
涼風至
薄浅葱うすあさぎ #69C2C7
『浅葱色(あさぎいろ)』を薄くしたような淡い青緑色のこと。『淡浅葱』とも。もとは若いねぎにちなんだ色だが実物の葱より青みが強く淡い色。

浅葱色は江戸時代に流行り多くの派生色が生まれた。水色がからせた『水浅葱(みずあさぎ)』、くすんだ『錆浅葱(さびあさぎ)』、花色がからせ鮮やかな『花浅葱(はなあさぎ)』など。

空には、まだ入道雲がもくもくと湧き出ていて、夏空が続いていますが、もう少ししたら、秋の空が待っています。高い高いところに出来る秋の空を思い浮かべ、涼味を感じていただきたくて、一足早くご紹介することにしました。
秋の空で思い浮かぶのは、さば雲、いわし雲、うろこ雲です。
いずれも高いところにできる巻積雲けんせきうんで、これらの名前は、見た目の様子で表された俗称です。

巻積雲は、正式には、白雲の小さな塊が集まってできる雲で10種類の雲に分類されます。この分類は、1894年にスウェーデンのウプサラで開かれた国際気象会議で決められました。「十種雲形じゅっしゅうんけい」と呼ばれ、巻雲けんうん巻積雲けんせきうん巻層雲けんそううん高積雲こうせきうん高層雲こうそううん層積雲そうせきうん層雲そううん乱層雲らんそううん積雲せきうん積乱雲せきらんうんがそれにあたります。巻積雲は、その形によってさらに細かく層状雲そうじょううん、レンズ雲、塔状雲とうじょううん房状雲ぼうじょううんに分類されます。しかし、国際式天気図に使用される雲形記号は、十種雲形の中で唯一、巻積雲を表す記号は1種類しかありません。

うろこ雲は、魚の鱗のように、白い斑紋や白い波紋となった美しい雲をいいます。いわし雲やさば雲は、いわしやさばが群れているようなさまをいいます。これらの雲は、低気圧の前面に現れるとされます。低気圧が近づくと、前面に温暖前線があり上層部に暖気が吹き込んできます。そのとき、空気が冷えて出来る雲が、うろこ雲やいわし雲です。これらの雲が現れて雨になる確率は75%くらいといわれます。

砂の如き雲流れ行く朝の秋   正岡子規

砂のように、目の細い雲が天高く流れて行く雲を眺めて、子規は「秋の朝」ではなく、「朝の秋」と詠みました。秋の空を胸いっぱいに感じている、子規その人が伝わってきます。

竹とんぼ競ふ双子やうろこ雲  凡茶ぼんちゃ
鱗雲ことごとく紅どこから暮る  橋本多佳子

同じうろこ雲といっても一様ではないことを、この二人の句から知ることができます。あなたのうろこ雲はどんなふうなのか、こころに思い浮かべて、もう少し続く夏の暑さを耐えしのいでください。

うろこ雲は、地震雲ともいわれます。昔から地震の前兆として伝えられていて、同じうろこ状でも、放射状であったり、渦巻き状であったり、直線状であったり、異常な形をしています。
普通の雲は、風や気流に流されて移動するのに対して、地震雲は移動せずに同じ場所に長時間留まります。その期間は、地震発生の2週間くらい前から現れ、直前にも現れるといいます。これらは事後証言であることから、科学的に証明されていませんが、迷信や占いの類とだけはいえないようです。

夕暮れや鬼の出さうな秋の雲  一茶

この一茶のは、地震雲なのでしょうか?

文/小池一三

※リニューアルする前の住まいマガジンびおから再掲載しました。
(2010年08月07日の過去記事より再掲載)