ちいきのたより

Vol.52  映画「散り椿」に見る、富山の住宅
富山県富山市 建築工房 アシストプラスアルファ

オール富山ロケで撮影された映画、「散り椿」をご存知でしょうか?

映画散り椿映画「散り椿」チラシ


今回はそのロケ地となった国指定重要文化財である
浮田家」に行ってきました。
江戸時代の豪農として栄えた浮田家は、言わば「お金持ちの家」。
この住宅から、富山での家づくりの特徴を紐解いてみたいと思います。

浮田家は、1829年に建てられた豪農民家の建築様式で、寄棟造よせむねづくりの茅葺き屋根は、「家のつくりようは夏をもって旨とすべし」と兼好法師が言った通り、この時期は中に入ると本当に涼しくて快適です。
富山市国指定重要文化財浮田家浮田家平面図

中に入ると巨大なケヤキと松の梁が縦横に組まれた豪壮な造り。
高い位置に設置された明かり取りの窓は、どんよりとした空が続く冬にも、少しでも室内を明るくする為の工夫です。

天井の梁と明かり取りの窓


奥の座敷に進むと南東(立山連峰側)に開かれた庭園があります。



縁側の障子は、座ったときの目線の高さにあわせて一部窓ガラスとされた「ねこま障子」となっており、客人をもてなす為の工夫がなされています。


特徴的なのは、縁側に約2mの軒下空間が設けられている事。
雨や雪の日でも快適に過ごせる工夫は、今の家づくりにも通じる部分ではないでしょうか。

縁側の約2mある軒下空間


左側に見える雨戸は、全て戸袋内に収まる造りになっており、さらに上部を障子とする事で光を取り込む為の工夫が。
色々考えて作られたことが伺えます。

富山市国指定重要文化財浮田家住宅の庭園

戸袋に収納できる雨戸


江戸時代は、「士農工商しのうこうしょう」と呼ばれる身分制度があり、家を建てる上でも様々な制約がありました。
それが明治に入り、江戸時代の倹約令が解かれた当時の人々にとっては、あこがれの建物として造りを真似して建てたそうです。

ちなみにアシストで建てる家も、軒を深く、その下にはウッドデッキを作るのが定番です。

深い軒と広いウッドデッキの家


今も昔も「家の中でも快適に暮らしたい」という事柄は共通の課題。
富山の住文化を生んだそのルーツを見ることは、今を生きる私たちを含め、未来の人たちにとっても大変重要なことだと思いました。

沢本勇太
ちいきの記者
沢本勇太 さわもと・ゆうた
富山県富山市生まれ33歳(2018年時)。2年前に「このままでは後悔する」と思い、異業種から意を決して父が営む工務店に入社しました。
建築二年生、日々勉強中です。趣味はサイクリングですが、最近サボりぎみ。お腹はタプタプです。

 

富山県富山市建築工房アシストプラスアルファ施工事例
建築工房 アシストプラスアルファ(株)けんちくこうぼう あしすとぷらすあるふぁ
富山県富山市黒瀬404-1
TEL:076-495-7911
URL:http://assistplus-alpha.com
富山市で新築、自然素材を使った長持ちする家づくりをしています。「なんかいいな」と思うような、理屈では言い表せない心地よさ。心地よいのが日常だから、それが当たり前になっている。
住む人の暮らしにどんどん馴染み、時の経過とともに味わいが増していく。目指すのは”上質な普段着のような家”。私たちは、そんな気持ちのいい家づくりを大事にしています。

ちいきのびお参加工務店さん全国図

ちいきのびお