色、いろいろの七十二候

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蓮始開・風鈴

風鈴を出しました
こよみの色
小暑
空色そらいろ #A0D8EF
・淡い明るい青色。空の色に規定はないため、この色は、明るい青を総称する名前。
蓮始開
淡群青うすぐんじょう #769DCD
群青色のやや薄い色調の色名。群青色は紫みがかった深い青色。人工の岩絵具ができるまで鉱物の瑠璃(ラピスラズリ)や藍銅鉱(アズライト)からつくられ、宝石に匹敵するほど高価で貴重な色であった。如来像や菩薩像の頭髪、曼荼羅の一部で使用されていた以外では、金沢などの伝統的な日本建築にて、お客様をお迎えする座敷に群青色の塗り壁が施されていたことが有名。

現代の室内は、エアコンのスイッチひとつで「快適」とされる環境が手に入ります。エアコンの効率はずいぶん向上しています。ヒートポンプによって、消費電力の何倍もの冷暖房能力を実現していて、冷暖房はエアコンに限る、という人もいます。
最近の機種は、日差しを感知したり、足先の温度を感知したりと、単に室内の空気の温度を上げ下げするだけでなく、人の体感という点に着目しています。

快適性評価は、気温の他に、湿度、気流、放射熱、着衣量、代謝量といった要素で評価されます。けれど、これらにはないけれど涼しく感じさせる要素がありますね。
そう、「音」です。

風鈴という言葉を聞いただけでも、涼しい感じがイメージされます。これはどうしてでしょうか。
風鈴は、その名の通り、風によって鳴る鈴です。風が吹けば鈴が鳴る、ということは、鈴が鳴れば風が吹いている、ということです。
風鈴の音を聞いた時、人はその様子を思い出し、風が吹いているかのような「思い込み」をします。この思い込みが、涼しく感じさせる、というわけですが、体感温度だけでなく、なんと体表面温度まで下がってしまう人もいるのだそうです。

「パブロフの犬」という、よく知られた条件反射の実験があります。ある音を鳴らしてから犬に餌を与えることを繰り返すうちに、その音を聞いただけで犬が唾液を出すようになったことから、生物が後天的に反射を獲得することを発見したものです。
「風鈴が鳴っているから涼しいな」と考えるのは条件反射ではなく、学習です。条件反射とは、風鈴の音を聞いたことで、無意識のうちに体感が涼しくなる反応です。

風鈴というものがどういうものかを知っていなければ、そもそも「思い込み」も起こらないため、風鈴を知らない外国人にはこの現象は見られないようです。日本人でも、エアコンで閉めきった家しか知らない子どもたちには、風鈴の思い込みは効かないかもしれません。もしかして、エアコンの動作音を聞くと涼しく感じる、なんていう人も増えていたりして…。

夏を快適に過ごすためにできることはたくさんあります。ひさしやブラインド、すだれ、よしずなどで窓からの入射を防ぐこと。特に屋根をしっかり断熱しておくこと。その上で、通風計画をきちんとしておくこと。調湿性能をもった建築材料を選ぶこと。
風鈴は、これらの室内環境をつくるものと比べると、まったく違ったアプローチからの「涼」ではありますが、「自然室温で暮らせる家」の、ひとつの仲間として歓迎します。

※リニューアルする前の住まいマガジンびおから再掲載しました。
(2014年07月07日の過去記事より再掲載)