ちいきのたより

Vol.47  瓦、みてご。
香川県三豊市 金丸工務店

芒種 梅子黄
青かった梅の実が梅雨と共に黄色く熟す頃となりました。
本日のちいきのたよりは、香川県より金丸工務店がお届けします。

「 香川の建築の特徴って? 」
かなまるスタッフへアンケート調査を実施したところ、どうやら「瓦」に特徴があるようです。
ということで、わたしの祖父が若い頃に建てたらしい我が家の屋根を見てみました。


この家に生まれ22年と住み慣れたはずの我が家の屋根。改めて見てみると迫力を感じました。
ご近所さん宅や通勤途中にも、昔からあるお家には迫力のある屋根瓦が目立ち、様々なデザインが施されています。それが香川県の屋根瓦の特徴なのです。

一体どのような「瓦」があるのでしょうか。
先ほどの写真にもありましたが、香川県の「鬼瓦」には鬼面ではないものがよく見られます。通常の「鬼瓦」は鬼面をしており魔除けなどの意味がありますが、香川県ではより福が舞い込むようにと縁起の良い動植物などを取り入れるようになったようです。


また、特徴的なものとして「井筒いづつ」と「水板みずいた」があります。
デザイン性と共に軽量化されており、内部の構造もしっかりとした丈夫な棟瓦むねがわらです。

そして、わたしたちの暮らす三豊市が所属する「西讃地域」では、通常の覆輪ふくりんより三重になった「三重福輪」が多く見られます。幸福が3倍になりますようにと願いが込められているのだとか。

なぜ、このように様々な「瓦」があるのでしょうか。

それは、香川県が瓦の産地であったことがきっかけなのです。

香川県には、愛媛県や淡路島まで続く「三豊層みとよそう」という粘土層があり、丸亀市の土器川付近で「瓦」に適した良質な土 (丸亀粘土) が採れたことから瓦つくりが盛んになりました。そのため、明治から昭和と沢山の瓦屋さんが県内に点在し、高度な技術を持つ職人さんが居たようです。

瓦つくりの歴史は淡路よりも古いと言われている香川県では、早くから民家に「瓦」が取り入れられ、まるで隣の家と競い合うかのように多種多様なデザインで装飾されてきました。お施主様と職人さんたちがいっしょになり作られた家々からは地域独特の美しさが溢れ、その場所で起きた当時のドラマを物語っているようにも感じられます。

近頃では屋根瓦の家は少なくなり、手入れのされない空き家が増えているのが現状です。
しかし、香川県には歴史のある職人の技術を今も受け継ぎ、頑張っている職人さんたちがいます。今回の記事作成にあたり協力してくださった地元の瓦屋さんでは、若い女性の鬼師さん(鬼瓦職人)が活躍しています。その素晴らしい技術と地域独特の美しい屋根瓦が失われることのないよう、当たり前になりすぎている風景や忘れかけている歴史を今一度見直していきたいですね。


香川県にお住まいの方は、我が家やおじいちゃんの家の屋根を見上げてみてくださいね。
香川県に訪れた際には、屋根瓦から感じる独特な美しさと歴史を感じてみてくださいね。

「 瓦、みてご。 」  (「 瓦、みてごらん。 」)

馬渕美香
ちいきの記者
馬渕美香まぶち・みか
香川県三豊市生まれ。金丸工務店では事務と広報を担当。
季節ごとに匂いが変わる外の空気を体中に吸い込むこと、家に入る前に空を見上げることが好きです。お客様に一番近い立場での家づくりのお手伝いと、お客様や地域の方が安心できるような情報を発信することを日々心がけています。

 

香川県三豊市金丸工務店施工事例
(株)金丸工務店かなまるこうむてん
香川県三豊市豊中町本山甲853-6
TEL:0875-62-4070
URL:http://www.kanamarustyle.com
いい風が吹いたら窓を開ける。雨の日は雨の音を聞く。晴れの日は電気を消す。
暑い日も寒い日も、晴天も台風もある日本だからこそ、多様な天候と上手に付き合える住まいを考える。特別じゃない日常が心豊かで実りあるものになるように。住む人にとってよりよい器となるように。私たちは、日本ならではの豊かな自然と調和しつつ、敷地や家族のライフスタイルに合わせた形を追求し、必要にして十分な性能を備えた住まいをご提案しています。

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