びおの珠玉記事

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紫蘇の故事

紫蘇

赤じそが出回る季節になりました。
青じそ(大葉)は年中出回っていますが、赤じそはこのころに露地物が流通します。

しそ、と聞いたら、どちらをイメージしますか?

紫蘇
青じそ

漢字では「紫蘇」と書きます。

青じそ、赤じそはそれぞれ「青紫蘇」「赤紫蘇」。漢字のイメージからは、赤じそこそが「紫蘇」に見えますね。

紫蘇の語源を探っていくと、中国で食中毒で死にかけた若者に紫蘇を与えたところ蘇ったため、「蘇」の字がつけられた、ということにいきあたります。

このように、紫蘇には食中毒予防、殺菌などの効果が知られています。解熱鎮痛にも効果があります。

青じそは薬味や刺し身に添えるなどして直接食べることが多く、赤じそは梅干しに色をつけたり、ジュースにしたり、ふりかけにしたりすることが多く、その色が特徴です。

薬味やふりかけ、色付けといった、どうしても脇役に回ってしまいがちな食材ですが、バッチリ主役を張っている食べ物もあります。

その名もズバリ、「しそ巻き」。

味噌をシソで巻いた食べ物です。東北と(びお編集部のある)遠州地方の郷土料理といわれています。もしかすると、しそ巻きなんて見たこと無い、という方も多いかもしれませんね。

しそ巻き

華陀の話

先に紹介した紫蘇の名前の由来になった出来事で、若者に紫蘇を与えたのが、三国志にも登場する中国の伝説的な医者、華陀かだといわれています。

彼の手にかかってなおらない病人はいない、といわれ、この時代にすでに麻酔を発明していた、という逸話も残っている名医です。

曹操そうそう1の頭痛を治すために呼ばれ、麻酔をしての開頭手術を提案します。しかしそんなことが出来るわけがない、と怒った曹操に捉えられ、処刑されてしまいます。
紫蘇の出番は、残念ながらありませんでした。
史実では、曹操の士官を拒否して、やはり曹操によって処刑されてしまいます。

華陀は吉川よしかわ英治の「三国志」にも登場します。
出師すいしの巻」は、華陀が関羽かんう矢傷やきずを治療するところと、曹操に処刑される場面が描かれています。

この「三国志」は、著作権者の死後50年、という著作権保護期間が切れて、2013年に青空文庫に掲載されたものです。
2013年は、吉川英治の他、室生犀星むろうさいせい、柳田國男、といった著名な作家たちの著作権保護期間が終わり、青空文庫に活況が訪れました(入力ボランティアの力があってこそです)。

2015年には尾崎士郎や佐藤春夫が、2016年には谷崎潤一郎や江戸川乱歩といった作家の著作権保護期間が終了する予定です。

しかし、ここにきて、TPP交渉によって、著作権保護を著作権者没後70年に伸ばす方向でまとまりつつある、という報道がされるようになっています。

こちらには、著作権保護期間延長の動きに対する話題が掲載されています。

農作物の話だと思っていたら、著作権の話になった。TPPへのアイロニーにしては、ちょっと強引すぎました。

でも、別の話題だと思っていたら、いつのまにやら…ということは、身の回りにもたくさんあります。

さきごろ、地域材利用に補助金が出る「木材利用ポイント」の対象樹種に、スウェーデン産、ニュージーランド産の材が追加されました。いわゆるホワイトウッド、レッドパインなどです。

※1:後漢末期の武将、政治家。詩人、兵法家。後漢の丞相・魏王で、三国時代の魏の基礎を作った。廟号は太祖、謚号は武皇帝。後世では魏の武帝、魏武とも呼ばれる。
※2:中国後漢末期に劉備に仕えた武将。

※リニューアルする前の住まいマガジンびおから珠玉記事を再掲載しました。
(2014年05月31日の過去記事より再掲載)