色、いろいろの七十二候

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蚕起食桑・麦秋

麦秋
こよみの色
小満
楝色おうちいろ #98D98E
・淡紫色の花をつける栴檀(せんだん)の古称。「パラソルツリー」と呼ばれ、夏の緑陰樹に優れる。
蚕起食桑
抹茶色まっちゃいろ #C5C56A
・その名のごとく、抹茶の薄い緑色。語源が飲み物の名前が付いた色は珍しい。色味や濃淡があいまいで、時代によって色に誤差があるようです。

二十四節気の「小満」を迎えました。麦の穂が実り、少し満ちてきたということからきています。麦にとっては秋のような季節であることから、このころを「麦秋ばくしゅう」と呼びます。

麦秋や子を負ひながらいはし売り  一茶

「麦秋」という言葉には、初夏にありながらほんのりとした物哀しさが感じられます。子を背負ったままいわしを売る、という決して豊かとはいえない親子の様子が、一層の哀愁をさそいます。

麦はこの時期から収穫を迎えるため、かつては米との二毛作が出来る貴重な穀物でした。
しかしながら麦の扱いは米の代用品といった感があり、
「麦三日米二十日」(米は何日食べてもいいが、麦は三日が限度)
などということわざまであります。

自給率こそ低いものの、麦の生産は日本全国で行われています。一方で、味噌や焼酎のような地域性の出る発酵食品での麦の用いられ方には地域差が出ています。

麦味噌は九州や中四国などの地域で主に食べられています。
麦焼酎の発祥の地は長崎県の壱岐いきだといわれており、また大分でも麦焼酎の生産が盛んです。

かつては米の代用品のような扱いだった麦も、地域ブランドという新しい役割をになっています。

「麦と姑は踏むがよい」という諺もあります。よい麦を育てるには麦踏みを行います。姑に対しても下手にばかり出ずに強く当たったほうがよい、ということだといわれていますが、どうにもこのことわざはしっくりきません。本来は「麦と嫁は踏むがよい」だったのではないか、などと勘ぐってしまいます。

先頃から、東日本大震災で被災した宮城県名取市のビール工場で、麦汁の仕込みが始まったと報道されています。
踏まれて強くなる麦が復興のシンボルに、というのは、少々こじつけが過ぎますが、夏に向けての明るいニュースです。

文/小池一三
※リニューアルする前の住まいマガジンびおから再掲載しました。
(2011年5月21日の過去記事より再掲載)