がんばり坂の家、鴨江

住まいのグラフィティ

Vol.22  ヤドカリプロジェクト#1:がんばり坂の家
リージョン・スタディーズ

ヤドカリプロジェクト——空き家を買い取ってスケルトンリフォームし、自邸兼事務所として利用したのち転売、利益を元手にまた別の空き家を自邸として改修。これを繰り返し、自身はヤドカリのように移動しつつ、足跡となる空き家を一つずつ復活させていく。
そんなプロジェクトの第一弾が、浜松市中心部の住宅街に建つ「がんばり坂の家」だ。
周辺の住宅需給状況等も調査して「住み継ぎやすい家づくり」を目指すと同時に、住み手が地域と積極的に関わりを持てるような「開かれた家」のあり方を模索した。
ヤドカリプロジェクトにより、「依頼を待つ」のではなく「仕掛けていく」ことで能動的にまちの価値向上に関わる「新しい建築家像」を提案できればと考えている。

白坂隆之介
がんばり坂の家

改修前の北側ファサード。築58年の住宅。道路側は擁壁で閉ざされた印象だった。(撮影=白坂隆之介)

浜松市中区鴨江の空き家再生

北側ファサード。写真右手は白い断熱材を充填した透ける壁。スライドして玄関が現れる。

リノベーションの土間

玄関から南側の庭を見通す。光、風、人間が通り抜ける「開かれた家」。

本棚

リビングから土間を見る。天井を撤去し、既存の柱・梁を露出させている。

1Rリノベーション

ワンルームの「住み継ぎやすい家」。断熱性能も高め、温度ムラのない屋内空間としている。

DATA
所在地:静岡県浜松市中区鴨江
用途:住居兼事務所
家族構成:夫婦
構造:木造・地上2階
敷地面積:187.70㎡
延床面積:57.21㎡
竣工年月:2017年11月

設計
総合・企画・意匠:白坂隆之介(REGION STUDIES INC.
設備設計:大屋謙二(株式会社大屋設備
構造設計:田尾玄秀(樅建築事務所)
構造監理:水田昌孝(有限会社水田建設
照明デザイン:吉楽広敦(ツキライティングオフィス)
外構・造園デザイン:田中俊光(ナインスケッチ

施工
建築・設備工事:水田昌孝、水田年雄(有限会社水田建設
家具製作:白坂隆之介(REGION STUDIES INC.
外構・造園工事:田中俊光(ナインスケッチ

写真:淺川敏(特記以外)

著者について

白坂隆之介

白坂隆之介しらさか・りゅうのすけ
建築家
1979年浜松市出身。京都大学で宇宙物理学を学んだ後、同大学工学部建築学科へ学士編入。地球環境学修士。シーラカンスK&Hに8年間勤め、学校や病院などの設計を担当。2016年、REGION STUDIESを設立。浜松にUターンし、「ヤドカリプロジェクト」始動。同プロジェクトで地元信金のビジネスコンテスト最優秀賞受賞。一級建築士。

連載について

この連載は、住まいづくりの最前線を伝えるコーナーです。5日に1回ほどのペースで、建築事務所や工務店の最新事例をグラフィカルに紹介していきます。今日はどんな住宅と出合えるだろう、そんなワクワクした気持ちで覗いてください。