我輩は歌丸である。

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猫力高い系猫ぴっち

ぴっちとぼくの共通点って何だと思う? じつはぼくたち同じハチワレ柄なんだよ!
これは秘密なんだけど! 多分ぴっちはぼくのお父ちゃんだと思うの!
あと、あと! ぼくの尊敬する「菊千代(赤塚不二夫氏の愛猫)」はお爺ちゃんだと思うの!

歌丸の戯言は放っておいて。今回は実家猫「ぴっち」のお話です。
ぴっちは我が家の庭で生まれ家族3匹で暮らしていましたが、両親を亡くし正式に家猫になりました。家と外を自由に行き来していたので木登りも狩りも大得意! いつだって足は泥だらけ。外猫との勢力争いで負った傷は勲章で、常に子汚い猫でした。今で言う猫力高い系猫です。
凛とした立ち振る舞いに時折覗かせる哀愁がたまりません。これぞ本来の猫の姿です。

猫らしくのびのびと生きたぴっちの老後は穏やかなものでした。しかし平穏な日々はぶち壊されるのです。

お正月休みに歌丸を初めて実家に連れて行きました。慎重に対面させるつもりが、歌丸は大興奮! あろうことかいきなり猫パンチ! 当然ぴっちは威嚇しましたが歌丸はなんのその! 出会った瞬間、ぴっちの虜になってしまったのです!

「このような小童の相手をしろというのかっ!」という冷たいぴっちの視線。
「何日かしたら帰りますんで……そこをなんとか……」と頭を下げる私。
そんなことはお構いなしの歌丸。

ベッドの猫たち

歌丸が鬱陶しくてたまらないぴっち

ぴっちのお怒りに触れない距離を絶妙に保ちながらストーキング行為を続けるのでした。

数年後、ぴっちは20年という長い人生を終えました。あまり長生きすると化け猫になっちゃうからね。

父とぴっちが大好きだった日の当たる寝室。歌丸も大好きでなんです。しかしシティボーイの歌丸は猫力が非常に低く、猫が得意とする快適な場所探しができません。真夏なのにベッドにもぐるという愚行を繰り返します。

もう少し猫力をアップして欲しいものです。意識高い系猫に鼻で笑われるぞ!

皆さんは愛猫を何と呼びますか?歌丸は何故「ウタマル」になったのでしょう。それはまた別のお話。

著者について

永田花

永田花ながた・はな
文化学院建築科を卒業後、ステンドグラス作家の山本幸子氏(株式会社山本・堀アーキテクツ)の下で働きながら物つくりの基本を学ぶ。その後N設計室勤務。仕事をしながらクラブイベントの会場装飾・ポスターやフライヤーデザインを手がける。現在は写真を使ったオーダー雑貨のデザイン・制作を生業としている。
http://87utamaru.wix.com/tutti-cat

連載について

永田花さんの飼い猫歌丸くんの日常について綴るエッセイ。歌丸は猫っぽくない、と花さんから聞いて、それはどういうことだろう?ととても興味を持ちました。花さんと歌丸との出会いから、これまでのこと。ほっと一息つけるようなエピーソードにあふれています。