暮らしを映すカメラ

Vol.2  樫の伐採を見届ける

鹿沼市のとある住宅の、北風を防ぐべく植えられた3本の樫の木。
樹齢は100年ほどでしょうか。南に伸びた枝はいつしか屋根の上におおきく覆い被さっており、倒木の不安があったため、今回伐採することになりました。
誰もがクレーンでの作業を予想しましたが、木こりの上林さんは、トラクタ一1台でやってのけました!

最近開放にはまっています。50mmレンズも35mmレンズも人物の表情をおさめようと思うと、開放での被写界深度は数センチ程度。オールドレンズ故に、オートフォーカスも効かず、動く人物にピントを合わせるのに苦労します。ただ被写体を物理的に切り取る望遠と違い、標準レンズでの開放は、意識で切り取るというような脳裏に焼き付くような不思議な雰囲気が魅力です。

表題写真/チェーンソーの切り屑だけに夕日が当たった偶然の写真です。

使用機材:
SONY α7
LEICA 50mm 1.4 SUMMILUX
LEICA 35mm 1.4 SUMMILUX
写真はすべて、ノートリミング、デジタル未処理

伐倒時、屋敷に倒れ込むリスクを少しでも軽減するために、南に張り出す太枝をまず払います。
長く伸ばされたハシゴからさらに登っての作業でした。

慣れた手つきでくるっと輪っかにして、一本ずつ切り端を撚りを緩めた
ワイヤー自身に編み込んでいきます。

トラックの荷台は道具が満載。

ひたすら研ぎます。チェーンも長くなるので、自ずと研ぐ鋸目の数も増えます。エンジン音が鳴り響き、
騒音の最中の木が倒れる一瞬の時間とは対照的な静かで穏やかな研ぎの時間です。

エンジン音全開で、チェーンソーが唸っています。

伐採後直ちに枝を払い、玉切りと呼ばれる輪切りをします。
写真の状態だと、枝が地面に突っ張っていて、数トンもある幹はまだ空中にあります。
バランス良く枝を払い幹を地上に導く、一見やさしそうに見え、じつはとても危険な作業。

地響きの後、エンジン音も止み、静謐な空気に満ちています。



松澤穣  まつざわ・みのる建築家

1963年東京生まれ。建築家。松澤穰建築設計事務所代表。多摩美術大学環境デザイン学科教授。東京芸術大学卒業・同大学院修了。代表作に、欅の家、里山住宅博のヴァンガードハウスなどがある。父親の影響で幼い頃からカメラに親しみ、ライカのレンズを愛用。

連載について

松澤さんは、カメラにもとっても詳しい建築家の一人です。気ままに撮っていますと言いながら、愛用のライカのレンズで安定感のある写真を撮影されるので、ちっとも気ままに思えません。8月にWebびお養成塾で担当された写真講座では、参考になった!もっと写真を見たい!など、受講生からの反響も大。そこで、Webびおでも松澤さんの写真講座をお願いすることになりました。松澤さんは、どんなことを考えながらカメラのファインダーを覗いているのでしょうか。

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