里山の色

夏櫨(なつはぜ)

版画/たかだみつみ
2017年07月07日 金曜日

各地の港で南米原産の「ヒアリ」が見つかって、連日報道されています。
すでに日本に入ってきたアリとしては、1990年代初頭に見つかった「アルゼンチンアリ」が知られていますが、ヒアリほど大きな報道にはならなかったように記憶しています。

ヒアリは刺されると激しい痛みがあり、場合によってはアナフィラキシーショックで死亡する可能性があることから、注目を集めているのかもしれません。

アルゼンチンアリも、見つかった自治体では防除に腐心してきました。こちらは人体に直接危害は加えませんが、大量に発生して一面がアリだらけになるなどの、いわゆる不快害虫としての要素もあり、また在来種を駆逐してしまうのでは、ということが危惧されています。


今回のテーマの「ナツハゼ」は、日本原産で、北海道から九州まで分布しています。いわゆる里山にある、普通の木ではありますが、鹿児島県では絶滅危惧Ⅰ類(絶滅の危機)、神奈川県でも絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大)とされています。共通点のそれほど多くなさそうな、この二県でのみレッドリストに載っているのは、どうしてなのでしょうね。

ナツハゼ(夏櫨)は、実は櫨の仲間ではありません。ハゼはウルシ科の樹木ですが、ナツハゼはツツジ科です。ではどうしてそんな名がついたかというと、初夏に、まるでハゼのような紅葉をすることから、その名がつけられたようです。

実はナツハゼ、ブルーベリー(こちらもツツジ科)のような実をつけます。この実は、もちろんヒトも食べられるのですが、当然、鳥も食べたいわけです。
ナツハゼの実を求めて、鳥がやってきます。庭に植えれば、夏場に紅葉した葉を楽しんで、秋には実にやってくる鳥も楽しめる、そう考えれば、なんと贅沢な木でしょうか。


さて、二十四節気の小暑の七十二候は、初候が温風至、次候が蓮始開、末候が鷹乃学習です。
版画の空に、鷹がいるのにお気づきでしょうか。

オオタカは環境省のレッドリストでは準絶滅危惧に指定され、また殆どの都道府県で、絶滅が危惧され、あるいは保護が必要とされています。里山の食物連鎖の頂点に君臨するオオタカですが、肝心の里山が激減して、生息地が極めて減っています。獰猛な猛禽類、というイメージがあるかもしれませんが、実は臆病な鳥で、営巣地に変化があると、営巣をあきらめてしまいます。


ナツハゼだけでなく、近くの山にある植物を庭に植えれば、そこの鳥が、いずれやってきます。オオタカの生息には広大な森が必要で、それを個人の家の庭だけでまかなうことはできませんが、それでも少しづつ変化していく庭に、いろいろな生き物がやってきます。少しずつ、我が家に里山をつくりませんか。

    小 大
    ページ上へ