里山の色

菫(すみれ)

版画/たかだみつみ
2017年04月20日 木曜日

二十四節気「穀雨(こくう)」とは、暦便覧に「春雨降りて百穀を生化すればなり」とある、穀物の成長を助ける雨が降る頃です。
七十二候は初候が「葭始生(あしはじめてしょうず)」、次候が「霜止出苗(しもやんでなえいずる)」、末候が「牡丹華(ぼたんはなさく)」と、いずれも植物の成長をうたっています。

日本の降水量は世界平均の約2倍、世界有数の雨の国といえます。
そうでありながら、狭い国土に対して人口が多く、一人あたり降水量は世界平均の四分の一、ひとりが使える水の量は決して多くありません。さらに、急峻な河川が、雨を海まですぐに流してしまいます。

世界的にも水不足はいわれています。
日本では、水不足とは別に、水道事業を公共で支えることが難しくなった、として、民営化の動きが加速しています。
今国会(第193通常国会)には、水道法を改正し、民間事業者に運営権を設定できる仕組みを導入する、とした法案が提出されました。

民営化で水道がどうなるのか。いろいろな予測・憶測が飛び交っています。老朽化しても修繕する費用がでない水道施設も多く、それ故、民間に任せてコストを削減するのだ、という意見。民間に任せては、公共性が欠落する、という意見。ガスも電気も民営化されているではないか、という意見。外資にあらされてよし、という意見。

水道は、先に挙げたように雨水が資源です。その雨水に限りがある以上、ガスや電気のようにはいかないのでは、という気もしますが、果たして…。

今回の版画はスミレ。可愛い花を咲かせる時期になりました。庭先で目立つのはパンジー、ビオラといった外来のスミレ科園芸種が多く、日本の野生種であるスミレは、やっぱり野生の方が主な生息域のようです。野生、というとたくましく聞こえますが、スミレは小さな花の代名詞です。

夏目漱石は、「菫程な小さき人に生れたし」と詠みました。漱石のような人間が何を、とも思いますが、実のところ悩み多い人生で、菫のようにひっそり、目立たず、それでいて凛と咲く、そんな風に生まれたかった、ということなのでしょうか。

漱石と言えば「I love You.」を、「月が綺麗ですね」と訳した、という逸話があります。
実のところ、これは漱石が言ったわけではない、という説が濃厚ですが、その派生で、「雨、やみませんね」は、「もう少し傍らにいたいです」の訳、なんていう話があります。

「雨、やみませんね」。
言われてみたい気もします。でも、穀雨の雨なら、また違った意味になりそうです。

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