里山の色

山鶯神楽(やまうぐいすかぐら)

版画/たかだみつみ
2017年04月04日 火曜日

山鶯神楽(やまうぐいすかぐら)
清明(せいめい)は、暦便覧に「万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草としれるなり」とあります。草木が芽吹いて、植物の種類がわかる頃、ということです。
新たな生命が生まれいづる頃、といってもいいでしょう。

例年、3月下旬から4月にかけては、桜の開花情報が盛んに報じられます。
実際のところ、日本列島は南北に長く、沖縄では1〜2月に、北海道では5月に桜が咲くのですが、どうしても東京発の報道が多くなって、報道もここに重なります。

桜の開花は、気象庁が定めた標本木の状況によって報じられ、東京では靖国神社にあるソメイヨシノのうち、特定の木を基準としています。
今年は、この標本木だけが早く咲き、他の木がなかなか咲かない、という珍事が起こりました。満開宣言を聞いて花見に行ってみたら、他の花はまだ咲いていなかった、という笑い話のようなことも起きています。

ソメイヨシノは、もともとが同じ木のクローンということもあり、同じ場所ではほぼ同じタイミングで咲くことが知られていますが、老化が進むと開花の時期がずれてしまうようで、標本木の変更も取り沙汰されているようです。

桜はまず花が咲き、後に葉を付けます。今回の版画のヤマウグイスカグラも、この時期に花を咲かせ、ほぼ同時か、少しあとに葉が開きます。漢字では「鶯神楽」と書きます。
ウグイスは、「声はすれども姿は見えず」、ヤマウグイスカグラのような藪の中に潜んでいることが多い鳥です。
名前の由来は、この木を舞台にウグイスが神楽を踊るようだから名付けられた、とか、ウグイスが隠れる木だから、とか、いくつかの説がありますが、決定的なものはないようです。

「清明」は、日本では生き生きとした植物による爽やかな頃、という認識が強い候ですが、二十四節気の本場・中国では、「清明節」として、墓参りをし、墓を清めて、その場所で宴会をする、という風習があります。日本でも、沖縄には「清明祭」があって、同じように先祖の墓参りをして食事会をする習わしが伝わっています。
新たな生命を強く感じる時期だからこそ、死者・先祖を偲び、また親戚縁者の繋がりを確認する行事です。

日本では、ちょうど新学期・新年度、ということで、新たな話題がいっぱいです。新しいことをはじめるときだからこそ、過去に学び、古きを温め新しきを知る、そんなことも忘れずに。

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