ちいさな二十四節気

穀雨・ツバメ

2014年04月20日 日曜日

穀雨・ツバメ

ネオニコチノイド系農薬のクロチアニジンの農作物への残留基準の改正についてパブリックコメントが募集され、多くの反対意見や署名によって再審議が行われることになりました。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000041662.pdf

ネオニコチノイドは、有機リン型の農薬に比べて安全、という触れ込みで広く普及した農薬です。その名から想像されるように、ニコチンを元に開発された殺虫剤です。ターゲットの昆虫の神経伝達物質に作用して中毒症状を起こし死に至らしめます。
昆虫に対して効果を持ちながら、哺乳類や鳥類には毒性が低い、という説明のもと、農薬にかぎらず広く使われています。
対象に直接噴霧して殺すだけでなく、殺虫成分を作物に塗布・浸透させる効果があり、作物に残留して、害虫を殺す性質を持っています。
クロチアニジンも、すでに農作物に使われているものですが、今回問題になったのは、その残留基準値を最大2000倍に緩和するというものでした。

農薬の基準緩和に対する再審議は珍しいことで、それだけ関心が強く、また疑問の残る問題だったともいえます。意見のすべてが冷静な事実であったわけではないようですし、再審議の結果がどうなるかはわかりませんが、大きく一石を投じたといっていいでしょう。

ネオニコチノイドは、ミツバチ大量死の原因の一つではないか、ともいわれています。蜂群崩壊性症候群(CCD)は、ここ数年各地で話題になっていて、ネオニコチノイド系農薬によるものだとか、ウイルスによるもの、ダニによるもの、これら複合的な要因があるといった意見もありますし、養蜂業をとりまく社会的な環境変化によるものだという意見もあります。

EUではミツバチ保護のためにネオニコチノイド系農薬の使用について、ミツバチの来る作物や穀物についての使用の規制が実施されています。オランダでは、すべてのネオニコチノイド系農薬を禁止する決定を行い、また家庭での使用もあわせて暫定的に禁止としました。韓国でも一時使用制限を実施しています。

日本では、この問題を機にネオニコチノイド系農薬についてさらに議論が深まることも予想されますが、現在はさまざまな製品に、野放し的に使われています。
主に防蟻を目的にした建材にも用いられていますし、家庭用の殺虫剤にも含まれています。家庭用の殺虫剤は、その規模こそ小さいものの、使用回数も濃度もお構いなしで、利用者が使い放題使えてしまうことに怖さをおぼえます。


ツバメの巣が家に出来ると、その家には福が来るといわれ、ツバメは大切にされてきました。農作業中心の社会にとっては、害虫を食べてくれることも、尊ばれた理由だったのでしょう。

ツバメは大抵一度に5羽の雛を育てます。5羽の赤ちゃんはいつも腹ペコで、ひっきりなしに餌を求めています。夫婦で餌を運びます。燕の巣の下はいつも糞だらけ。その等、巣の下に落ちているものをよく見てみると、虫の羽があるのがわかります。
その虫がいなくなれば、ツバメもいなくなるのは自明です。

「一燕春をなさず」という言葉があります。ツバメを一羽見たところで春が来るわけではなく、物事は全体を、連続性を見つめなさい、という警句です。この問題は今に始まったことでもなく、決着がついたわけでもありません。注目しましょう。

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