色、いろいろ。

梅東風

版画/たかだみつみ 文/小池一三
2012年02月04日 土曜日

梅東風 版画

立春といわれても、まだ冬だよ、といわれる寒波がこの列島を襲っています。けれど、日脚を見ると一日一日伸びていて、木々を見ると芽吹いていて、なるほど立春なのだ、春は立っているのだと思います。
『暦便覧』によると、「春の気立つを以って也」と記されています。中国の立春とは異なりますが、立春は、八十八夜、二百十日、二百二十日など、日本独自の雑節の起算日になっていて、その意味では日本的といえるのかも知れません。

春立つや誰も人より先に起き 鬼貫
ちぐはぐの下駄から春は立ちにけり 一茶
さざ波は立春の譜をひろげたり 渡辺水巴

立春の前日は節分で、豆撒きを行います。「節分」も「豆撒き」も冬の季語です。
豆撒きでは、撒いた豆を自分の年齢(数え年)の数だけ食べました。年取豆です。豆を鬼にぶつけるのは「魔滅」に通じ、邪気を追い払う意味合いがあるそうですが、「鬼は外、福は内」という掛け声は、地域によっては「鬼も内(鬼は内)」というところもあるそうです。「鬼塚」、「鬼頭」など、「鬼」の付く苗字の家とか、鬼が付く地名の地域では「鬼は内」というそうです。

年かくすやりてが豆を奪ひけり 几菫
あたたかく炒られて嬉し年の豆 虚子

立春と並んで「寒明」という季語があります。寒明は立春そのものですが、耐えてきた寒さを振り返るとき、この安堵の季語を用いたくなるのでしょう。

川波の手がひらひらと寒明くる 飯田蛇笏

立春が明けると、「早春」と「春浅し」という季語が出てきます。立春といいながら、すぐに早春といい、春浅しと詠むのです。早春は、どちらかというと明るく響きますが、春浅しという季語には、どこか屈託の感情があるように思います。

病牀の匂袋や浅き春 正岡子規
それ以来誰にも逢はず春浅し 鈴木花蓑

    小 大
    ページ上へ