旬のコラム

讃岐の出水(ですい)

文/菅徹夫(びお編集員・菅組代表取締役)
2012年02月24日 金曜日

春日出水(琴平町)

春日出水(琴平町)

出水(ですい)という言葉は、香川の方言らしく水の湧き出ている所、すなわち湧水や泉のことを指します。雨量の少ない香川県では、古来からため池と並んで、重要な水源として飲料水や農業用水に利用されてきたようです。それ以外にも野菜を洗ったり、洗濯をしたり・・・と地域の人々の生活と密着していた出水も数多くあったようです。
以前に(※編注:寄稿元で)紹介した善通寺市の「永井清水」はまさにその典型で、最近まで生活と密着していた痕跡が残っていました。しかしながら今ではそういう風習も失われ、人々の生活とはかけ離れた存在になりつつあります。使われなくなった出水は手入れされることもなく、水が濁ってきたりゴミがたまっていたり、また湧き水そのものが出なくなっているものまであります。
また護岸工事などでコンクリートで固められて景観や生き物たちの棲息環境を極端に悪化させてしまっている場合も数多く見受けられます。優良な出水は、小魚やエビ、トンボやアメンボなど多様な生き物が息づき、生物多様性を育むビオトープとしての役割を維持し続けています。そのような昔ながらの自然度の高い出水は私たちの貴重な財産でもあるのです。成長型社会から成熟型社会へ移行していく今後、「文化」とか「芸術」とか「自然」などがこれまで以上に価値をもち、評価される時代になっていかなければなりません。昔ながらの出水を守り維持していくこと、あるいは既にコンクリートで固められた出水を近自然型工法などで生物多様性を育むビオトープとして再生していくことは、成熟型社会あるいは循環型社会を実現していくためにもとても大切な事だと思います。

善通寺市の出水

善通寺市の出水

土器川近郊(丸亀市)

土器川近郊(丸亀市)

土器川近郊(丸亀市)

土器川近郊(丸亀市)

高松市香川町の名も無き出水

高松市香川町の名も無き出水

私自身、善通寺市には80を超える出水があると言われているのは知っていましたが、最近になって香川県には他にも知られていない出水が、意外にたくさん残っていることが分かってきました。土器川、綾川、財田川などの河川の流域にはけっこうな数の出水が存在しているようなのです。
水不足に悩まされ続けて来た土地柄であるが故に、貴重な小さな水源として守られ維持されてきたのではないかと想像されます。
出水の情報はあまり表に出ていないようなのですが、新しい情報を入手できれば少しずつ下記のブログで紹介していきたいと思います。「出水」は地元の人々にその価値を再評価されて、後世に残していくべき「知られざる讃岐の財産」の一つだと思うのです。

http://sugakun.exblog.jp/tags/出水

[参考:「消えゆく日本の淡水魚たち」]

文:菅徹夫(びお編集委員・菅組代表取締役)
菅組:http://www.suga-ac.co.jp/
ブログ:ShopMasterのひとりごとhttp://sugakun.exblog.jp/
季刊誌「あののぉ」Vol.21より寄稿:http://www.suga-ac.co.jp/other/kikanshi.html

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