旬のコラム
乾物のこと
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「乾物」。字のごとく、乾いたものです。
食べ物に含まれる水分は、腐敗の原因になることがあります。乾燥させ、水分を減らして保存性を高めたものが乾物です。
乾物の魅力は保存性だけではありません。美味しさの面からも魅力のある食材です。
乾物の魅力
今は冷蔵技術が発達し、年中無休・24時間営業の店も増え、いつでも食糧が入手できる時代になりました。さまざまな国・地域の食べ物を、近所で食べることが出来るのです。
一見すると豊かなこの状態も、輸送や保存に膨大なエネルギーを使って実現されています。
乾物は、主に保存のために水分を抜いた食品です。干すのも保存するのにも、大きなエネルギーは必要ありません。しかも、天日で干されることで、単に水分が減るだけでなく、成分が変化し、旨味が増しているものもあります。日持ちが良くて、旨味も増す。とても素敵な昔ながらの知恵ですね。
乾燥方法
古来、乾物の乾燥には天日が用いられていました。しかし、昨今の乾物では、機械を使った乾燥方法も用いられています。
熱風を当てて乾燥させたり、熱い油に入れる、真空状態(沸点が低くなる)にして熱する、あるいは真空で凍らせて、氷を加熱して水蒸気にするなど、さまざまな乾燥方法があります。
身近な乾物
紹介してきた乾物・干物
「びお」でこれまで取り上げてきた乾物や干物の記事です。
イチョウと銀杏
銀杏も独特の香りを持つ食品です。乾物、というほど水分を抜かずに食べます。
ところてんの涼を楽しむ
ところてんの原料は、乾物・天草です。ところてんとして食べてしまわずに、凍らせると寒天が出来ます。これも乾物です。
鰹節を削ろう!
手火山で作っている鰹節工場の取材記事です。
日本を代表する野菜、だいこん
各地の大根料理を見ると、切り干し大根が使われています。
改めて、節分。― 立春を前に
味噌—歴史と効用を持つ発酵食品
どちらも大豆を取り上げています。大豆は栄養や用途の広さなど、かなり重要な乾物の一つですね。
スルメイカの手軽な楽しみ方、一夜干し
一夜干しでは水分が抜けきりませんが、「干す」つながりで。
今回は、地味な脇役的な乾物ばかりの紹介となりましたが、乾物の実力は、脇役だけではありません。
アワビ、貝柱、フカヒレ、ナマコなど、乾物には高級品も数多くあります。乾物は奥が深いですね。
乾物の苦難
さて、乾物を取り上げるにあたって、少々気が重い話題があります。
干し椎茸から暫定規制値を上回る放射性セシウムが検出された、という報道がありました。
また、緑茶(荒茶・乾燥段階のもの)も、同様に暫定規制値を超えたケースがあります。
乾燥させたものは、水分が少なくなり、重量が軽くなります。水分以外のものは濃縮されたるため、重量あたりで測る放射性物質検査に対しては、生のものに比べ、検出量が多くなる可能性が高くなります。
これに対し、生産者や自治体等は、食用の際には水で戻すため、規制値をその状態で測るべきだという意見を持っているところもあります。
厚生労働省は薬事・食品衛生審議会において、10月31日から、食品中の放射性物質の暫定規制値を見直す審議をはじめました。
この中では、乾物類に対しての基準の設け方も話し合われるといわれています。
暫定規制値とは
「暫定規制値」は、「暫定」の名がつくように、福島第一原発事故を受けて、厚労省が原子力安全委員会の助言を受けて定めた基準です。先に始まった見直し審議による基準は2012年4月からの実施を予定されています。この規制値は今のものより厳しい値になると見られています。
この暫定規制値は、食品による、放射性セシウム年間被曝線量の上限を暫定措置として年5ミリシーベルトと設定、
日本人の平均摂取量をもとに、野菜類、穀類、肉・卵・魚類、飲料水、牛乳・乳製品の5つの食品群に、1ミリシーベルトずつ振り分けるという、ずいぶん大雑把なものなのです。
1キロあたり500ベクレル、といった暫定規制値は、食品群毎にこのぐらいの量を食べるだろうから、ということで決められた値です。
1キロあたり500ベクレル以下のものなら、いくら食べても大丈夫、という基準ではありません。
しかし報道や自治体などの発表では、食品検査で暫定規制値を下回ると「安全性が確認された」などといっているケースがあります。
放射線の人体への影響には諸説あります。何ミリシーベルトなら大丈夫、という真偽についてはここでは触れません。
しかし、現在定められている暫定規制値というのは、かように大雑把であり、人は年齢・体格によって放射線への感受性も異なるであろうこと、そして何より「たくさん食べる人」もいれば、「ちょっとしか食べない人」もいるわけです。
なんの基準も無ければ販売が難しくなりますし、規制値を超えるか超えないかは、生産者・流通においては極めて重要な問題です。
一方で、食べる側にしてみれば、重要なのは総量です。しかもそれがどのぐらいまで大丈夫なのか、実際のところはわからない、といってよいでしょう。
それ故に、敏感にいろいろなものを避ける人もいれば、あまり気にせず食品を選択する人もいます。
総量を増やしすぎない、ということに注意をして、規制値の内容や、これから研究が進むであろう内部被曝については、情報をキャッチして自分で判断するしかないのではないでしょうか。
放射性物質の検出は、乾物にとってどうしても不利になりがちです。しかし暫定規制値というものがどういうものかを理解して、乾物とどう付きあえばよいか、自分自身で判断していきましょう。
参考文献
乾物の事典
(東京堂出版/星名桂治)
乾物屋さんが書いた乾物の本 (HANDS BOOK)
(三水社/田中靖三)
乾物入門 (食品知識ミニブックスシリーズ)
(日本食糧新聞社/蔀一義)






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