色、いろいろ。

冬茜

版画/たかだみつみ 文/小池一三
2011年11月23日 水曜日
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秋の夕焼けは釣瓶(つるべ)落としといわれます。まるで深井戸に釣瓶が落ちて行くようだという形容で、井戸のない生活では、これはよく分らないかも知れません。

海の日のつるべ落としや親知らず 阿波野青畝
釣瓶落とし家裏に抜く葱二本 相馬遷子

けれど、この二つの句を読むと、意味は通じるのではないでしょうか。
秋の夕焼けが釣瓶落としなら、冬の夕焼けはもっと早く、あっという間のものです。冬茜という形容は、だれが考えたのか知りませんが、一番寒いときに、夕焼けが際立つ一瞬をうまく表わしています。それも赤ではなく、茜。
茜色は、薬用・染料植物アカネの根で染めた暗い赤色をいいます。日本では、紅花(ベニバナ)よりも古くから赤色の染料として用いられてきました。アカネを染料にしている色は、他に緋色があります。こちらは鮮やかな赤色で、茜色より明るい色です。

茜は、春茜、夏茜、秋茜、冬茜と、四季折々に用いられます。夏と秋はトンボの名前で、春と冬は夕焼け空をいいます。

石くれ仏ひしめくかぎり冬茜 文挾夫佐恵

大分の臼杵に行ったとき、茜色の光のたゆたいのなか石仏がありました。この句は、そのときのことを思い起こさせてくれました。

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