特集
茅葺屋根のような断熱材 シリーズびおハウス(2)
- 小
- 中
- 大
前回は、体感温度と自然室温について紹介しました。
今回は、びおハウスを構成する構要素の一つ、熱容量の大きな木の繊維断熱材についてとりあげます。
断熱は義務付けられていない
日本で住宅を建てるときには、建築基準法という法律に基づく必要があります。基準法は、主に健康・生命や財産の安全を守るためのもので、敷地の安全性や防火、建物の高さなどの周囲に迷惑をかける可能性のあることや、採光や換気といった健康に関係することなどの基準が決められています。
しかし、この基準法では、省エネルギーに関することは定められていません。断熱材の規定などもありません。まったく断熱材を使わない家を建てても、法律上は問題ありません。
省エネルギーに関する基準としては、1999年に定められた次世代省エネルギー基準というものがあります。また、住宅品質確保促進法に基づく性能評価基準でも省エネルギー等級がさだめられています。
省エネルギー対策等級は4段階にわけられ、最上級の等級4が、次世代省エネルギー基準相当となっています。
省エネ対策等級4は、金利が優遇されるフラット35Sの融資条件の一つです。
長期優良住宅も、省エネルギー対策等級4相当が条件です。
このように、政策誘導的に省エネルギー性能、断熱性能の強化が進められてきていますが、依然として一般住宅では義務化されていません。政府は2020年度までに、新築住宅の省エネ義務化をするとしています。
断熱材の種類
断熱材にはさまざまな種類があります。
住宅金融普及協会が発行する「木造住宅工事仕様書」では、「断熱材」は、以下のカテゴリーに分けられています。
| 形状 | 種類 | |
|---|---|---|
| 材料 | 材料名 | |
| フェルト状断熱材 | 無機繊維系断熱材 | 住宅用グラスウール断熱材 |
| 高性能グラスウール断熱材 | ||
| 住宅用ロックウール断熱材 | ||
| 高性能ロックウール断熱材 | ||
| ボード状断熱材 | 無機繊維系断熱材 | 住宅用グラスウール断熱材 |
| 住宅用ロックウールボード・マット | ||
| 木質繊維系断熱材 | インシュレーションボード | |
| タタミボード | ||
| シージングボード | ||
| 発泡プラスチック系断熱材 | ビーズ法ポリスチレンフォーム保温板 | |
| 押出法ポリスチレンフォーム保温板 | ||
| 硬質ウレタンフォーム保温板 | ||
| ポリエチレンフォーム保温板 | ||
| フェノールフォーム保温板 | ||
| 吹込み用断熱材 | 無機繊維系断熱材 | 吹込み用グラスウール断熱材 |
| 吹込み用ロックウール断熱材 | ||
| 木質繊維系断熱材 | 吹込み用セルロースファイバー | |
| 現場発泡断熱材 | 発泡プラスチック系断熱材 | 建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォーム |
びおハウスが推奨している断熱材は、この中の「木質繊維系断熱材」にあたります。
断熱材とQ値
熱を断つ材料、と書いて断熱材です。でもこの表現は、厳密には正しくないかもしれません。
断熱材は、熱を断つものではないのです。
熱が伝わるのを遅らせる、というのが、断熱材の正しい機能です。
断熱材の性能を表すもののひとつに、熱伝導率というものがあります。熱の伝わりやすさを示したものです。熱伝導率は材料そのものの特性で、使用する厚みによって熱抵抗値が計算できます。
この熱抵抗値の逆数が、熱貫流率です。
部位ごとの熱貫流率に面積をかけて、換気によって逃げる熱を加えて計算したものが、熱損失係数(Q値)です。
次世代省エネルギー基準にも、地域ごとにQ値の基準値が定められています。
この求め方からわかるように、Q値とは閉じた状態の家の熱の逃げやすさを図るもので、窓などは閉じた状態で機械換気をするという設定での値です。
熱容量にも注目する
これまで断熱材の性能は熱伝導率で語られてきました。Q値計算上も、熱伝導率と厚みによってその値が決まって来ました。しかし、同じ熱貫流率の断熱材でも、必ずしも同じ性能にならないことがあります。
私たちは、材料の熱容量の違いに注目しました。

ここで比較したものは、EPS(発泡プラスチック系)と、木繊維断熱材の熱物性です。
両者の熱伝導率は同じですので、厚みが同じならQ値計算上は同等となります。しかし、熱容量を加えて計算すると、上面の温度変化が下面に到達するまでの時間には大きな差が出ました。
下のグラフは、一坪の6明体の6面すべてにそれぞれに材料を用いた際の、室内の温度変化の状況をシミュレートしたものです。EPS100ミリと木繊維断熱材100ミリ、200ミリ、300ミリによる比較をしています。

木繊維300ミリの場合は、内部の温度変化がほとんどなく、外部の影響を受けにくいことがわかります。また、同じ熱抵抗値のEPS100ミリと木繊維100ミリを比較しても、木繊維100ミリのほうが温度変化が緩やかです。
こうした材料の特性から、「びおハウス」では、木の繊維による断熱材を推奨することにしました。


昔の茅葺屋根の家の時代には、冷房などありませんでした。厚い茅の中にある空気層が、断熱材の役割を果たしていたことになります。茅葺屋根は、熱を蓄える、熱容量が大きい屋根でした。茅葺屋根の家が涼しかったのは、この材料の性質によるものです。

びおハウスの屋根は、現代の茅葺屋根とも言える熱容量の大きな断熱材を用い、その上のでは、「美しい光発電」と銘打った、屋根材一体型のアモルファスシリコン太陽光発電による発電も行います(太陽光発電のことは、別の機会にご紹介します)。
9月28〜30日のジャパンホームショー2011でも、この断熱材等、びおハウスの構成アイテムを出展しています。びおハウスの説明会も同時開催。ジャパンホームショーにお越しの方は、ぜひお立ち寄りください。






コメントはこちらから!