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体感温度と自然室温 シリーズびおハウス(1)

2011年09月03日 土曜日
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2010年は猛暑で、熱中症で亡くなる方が多かったのは記憶に新しいところです。2011年も6月の熱中症搬送者が前年比で3倍になるなど、今年も暑さによる事故が相次ぎました。
東京電力の原子力発電所事故をうけて、(エアコンを使わないなどの)節電しすぎによる熱中症も懸念されました。

東電管内の大口需要者に対する電力使用制限令は解除されることになりましたが、政府ではひきつづき節電を求めています。

まだ残暑が厳しいところもありますが、これから秋、そして冬を迎えます。
電気の使われ方全体では、夏場が多くなることがわかりますが、家庭における消費エネルギーに占めるのはエアコンがおよそ25%程とされています。
この内訳は、冷房の割合はおよそ2%に対して、暖房はおよそ24%と、これからやってくる冬の暖房負荷のほうが、家庭でのエネルギー消費としては大きいのです。
電力抑制下、夏も冬も、自然室温で暮らせる家があったらいいと思いませんか?

暑さ、寒さを決める要素

自然室温の話をする前に、「暑い」、「寒い」の話を。
みなさんは、室温が何度以上なら暑い、何度以下なら寒い、と感じますか?

25℃で暑いと感じる人もいれば、28℃でも暑くないと感じる人もいます。
同じ気温で、同じ人でも、じっとしていれば暑くなくても、食事の後や、運動をしたら暑いと感じます。
寒さについても同じことが言えます。

暑さ、寒さというのは、気温だけで絶対的に決まるものではありません。
人間の体と、周辺の環境との熱の移動によって決まってくるものです。

暑さ指数・WBGT

先に挙げた熱中症対策では、WBGTという指標が使われています。
WBGT(Wet-bulb Globe Temperature:湿球黒球温度)とは、湿度、輻射熱、気温の3つから計算する指標です。

屋内では、WBGT = 0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度
屋内では、WBGT = 0.7×湿球温度+0.3×黒球温度

という算出方法です。
湿球温度、乾球温度は、乾湿計のそれぞれが指す温度で、黒球温度は輻射熱です。
湿球・黒球温度は、測定場所の気流の影響も受けますので、気流も加えた4つの要素からなる指標といえます。
熱中症はWBGTにほぼ比例して増加し、WBGTが31度以上になると、皮膚温より気温のほうが高くなり、かなり危険な状態とされています。

体感温度を構成する6要素

体感温度とは、どのように決まるのでしょうか。
体感温度の計算指標としては、ミスナール法とリンケ法という2つの方法がよく使われます。
ミスナール法は気温と湿度から、リンケ法は気温と風速から計算するものですが、私たちが感じる体感温度には、これらの要素の他に、WBGTでもあげられていた輻射、そして代謝と着衣量が影響します。

・気温
・湿度
・風速
・輻射
・代謝量
・着衣量

食事をしたら暑いとか、運動をしたら暑い、というのは、代謝量が増えるからです。
夏のオフィスのエアコンの設定温度を男性が低く設定するため、女性が寒がる、という話を聞きますが、一般的に体重が多く、筋肉の量も多い男性の代謝量が大きいことが原因の一つです。

余談ですが、ダイエットの方法の一つとして、筋肉をつけて基礎代謝量を増やす、というものがあります。
基礎代謝量が増えるということは、何もしていなくても消費するカロリーが増えるため、ダイエットに繋がる、という考え方です。ようするに、体の燃費を悪くして燃料をたくさん燃やす、という、なんだかもったいないような気もするダイエット方法ですが、「代謝」が、燃料(食事)を燃やして熱に換える、ということがイメージしやすいのではないでしょうか。

暑さ寒さに関連するもう一つ大きなものが、着衣量です。「クールビズ」とか「スーパークールビズ」は、ネクタイを外したり、ポロシャツなどの楽な格好をして、暑さをやわらげよう、というものですね。ネクタイは、日本のような蒸し暑さのないヨーロッパが発祥です。地域にあった暮らし方、ということを考えると、服装も今までのまま、というわけにはいかないかもしれませんね。
官公庁では沖縄発祥の「かりゆしウェア」を着用する動きもあります。西洋列強にならって背広を正装としてきた日本ですが、近い将来、気候にあった正装に切り替わるときがくるのでしょうか?

参考
暖めすぎると冷えるものって何? | 特集 | 住まいネット新聞「びお」
http://www.bionet.jp/2009/12/hie/

乾燥・結露・湿度の話 | 特集 | 住まいネット新聞「びお」
http://www.bionet.jp/2009/12/shitsudo/

メーカーのエアコンでも、室内の人の位置を感知し、風を積極的に当てることで体感温度を調整し、エアコンの運転自体は弱くするという省エネモードを装備したものが出てきています。

自然室温で暮らせるだろうか?

ここでいう自然室温は、冷房によって家を冷やしたり、暖房で暖めたりしない状態のことを言います。
冷房も暖房もしない、というと、驚くような気もしますが、少し前までは、私たちは自然室温で暮らしていたのです。

内閣府の調査によると、昭和36年の一般世帯へのクーラー普及率は0.4%、49年からは統計がクーラーからエアコンに変わりますが、その時点でも12.4%、今年の3月時点では89.2%です。たとえば20年前、平成3年といえばかなりエアコンが普及していたように思えますが、その時点では68.1%ですので、この20年でもエアコンの普及は増えてきたということがわかります。
冬の暖房についてはストーブやファンヒーターなど、エアコン以外の選択肢が多いため、エアコンの普及率だけで、冬も自然室温で暮らしていた、ということには結びつけられませんが、夏の冷房としてはエアコンによるものが圧倒的です。つまり夏は自然室温で暮らしていた、という世帯が、20年前でも3割以上、30年前(昭和56年・41.2%)なら、6割近くにのぼるのです。

ほんの数十年前にはほとんどの人がしていた、自然室温での暮らし。
いつのまにか、エアコンをつけて閉じきった暮らしをするのが当たり前になってしまいました。
エアコンが増え、ヒートアイランドが起こり、足りない(足りなくさせた)電力をまかなうために原発が増え。
そんな私たちが、もう一度自然室温に向かう大きなきっかけになったのが、皮肉にも原発事故だったのです。

びおハウス

このたびはじまったコンセプトハウス「びおハウス」では、自然室温で暮らせる家を目指して、さまざまな工夫をしています。

電力抑制下 自然室温で暮らせる家 びおハウスホームページ
http://www.bionet.jp/biohouse/

開かれた”自然室温”へ びおハウス
http://www.bionet.jp/biohouse/live.html

夏は、日射を徹底的に遮って通風を確保すること、冬は日射を積極的に取り込んで逃さないことが、快適な家づくりの基本です。

びおハウスでも、まずは建築でやれるところまでやろう、ということを掛け声に、大きな熱容量をもち、外気温と室温との熱の移動速度を遅らせる木繊維断熱材を用います。
太陽高度の低い冬には日射を取り込み、高い夏には日射を遮る大きな庇や、夏と冬でモードを転換し、日射遮蔽と取得の両方ができる吊りデッキを用いるなど、建築で出来るところには徹底的に手をかけます。
その上で、換気しながら冬の日射取得をより進めたり、夏の外気による蓄冷などを行うEベンチレーションや、屋根材と一体化した美しいアモルファスシリコン型太陽電池などの独自の提案をしています。
こうした仕掛けに加えて、体感温度を下げる工夫で、自然室温で暮らせる家をつくろう、という提案です。

どうしても暑い時、寒い時や、赤ちゃん、高齢者などには、無理を強いてはいけませんので、エアコンをつかうのもあり、という考えです。その場合でも、Eベンチレーションと組み合わせて、最小限のエアコンを、賢く使うしくみです。

次回以降、びおハウスの構成要素について、もう少し詳しくご紹介していきます。

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