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食べ物で暑さをはらう・冬瓜(とうがん)

2011年06月27日 月曜日
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冬瓜(とうがん)まるごと

冷房を抑えてすごす夏

東日本大震災で発電所が被災した東北電力・東京電力に続いて、中部電力も浜岡原発停止により電力供給が切迫(していると発表)し、直接の被災がなかった関西電力や九州電力でも、電力融通がなくなったり、点検中の原発再稼働が出来ないなどで、節電を呼びかけています。
どの電力管内かによって程度に違いはあるものの、全国的にこの夏は近来例のない「節電ブーム」となりそうで、家庭や職場、さまざまな施設でも照明を少なくしたり、冷房の温度を下げたりといったことに取り組んでいます。

「心頭を滅却すれば火もまた涼し」という言葉があります。この言葉の語源は恵林寺の住職・快川紹喜の辞世の句で、織田信長から武田軍を匿ったことで寺ごと焼き討ちにあい、「安禅必ずしも山水を用いず、心頭滅却すれば火も自ら涼し」と遺したといわれています。
ここまでのことはなかなかできない(真似してはいけない)としても、電力をできるだけ使わずに涼しく過ごそうと、緑のカーテンや扇風機といったローテクアイテムに人気が集まっています。

暑い、ということは、単純に温度が高い、ということを意味するわけではありません。
扇風機を使っても温度は下がりませんが、涼しく感じます。運動や作業をしている最中や直後はとても暑いと感じますし、服装でも随分変わります。俗にいう「体感温度」というものです。

最近のエアコンは、体感温度にも着目し、運転を弱めながらも人がいるところに風を送ることで体感温度を下げたり、という機能がついているものもあります。
そうはいっても、冷房というのは、室内の環境を快適にし、その分の不快さ(高い温度や湿度)を、室外機を通じて外に出してしまうという、言わばエゴイズムの装置です。みんなが使うから、ますます外が暑くなって…という悪循環があります。この悪循環が、今年はひょっとして、冷房を弱めて使うことで、多少なりとも解消されるのかもしれませんが…。

そうした機械に頼らずに涼を採る方法は古くから多く伝えられています。打ち水や風鈴、怪談話なんていうものもありますが、ここでは「食べもので体の熱をとる」ということに着目してみます。

五味五性

〇〇を食べると体があたたまる、という話をよく聞きます。生姜や唐辛子などはその典型です。
一方で、体を冷やすとされている食べ物もあります。
「医食同源」で知られる中国に古くから伝わる中医学と、それに基づく薬膳では、こうした性質を「食性」とよび、五つの性質、「五性」に分類しています。
体を冷やす順に、寒・涼・平・温・熱の5種類です。

どんな食材も、どこかの食性に属するという考え方です。とはいえ、実際には多くの食材は「平」に属しています。体をあたためたり冷やしたり、という食材は、貴重品といえるのかもしれません。
また、熱を加えて調理をすることで食性が変わることもあります。
ただし、暑いからといって、体を冷やすものを食べるばかりではなく、体のバランスを整えないと、今度は体が冷えすぎてしまいます。

これとは別に「五味」という、食材の味に応じた区別もあります。酸・苦・甘・辛・鹹(しおからい)の5つで、これらをあわせて「五味五性(ごみごせい)」といいます。五味は単に舌で味わうということだけでなく、それぞれの味が、肝・心・脾・肺・腎の各臓器の働きに影響します。

「寒」や「涼」に属している食材を使った物では、これまで「びお」で以下のようなものを紹介してきました。

6月30日は、「水無月」を食べる日6月30日は、「水無月」を食べる日
http://www.bionet.jp/2009/06/minazuki/

「水無月」は、夏越の祓で食べる暑気払い用のお菓子。冷やして食べる、というだけでなく、「寒」に属する白砂糖がたっぷり使われています。

今回は、体を冷やす夏野菜として「冬瓜(とうがん)」を取り上げます。
冬瓜は食味は「甘」、食性は「寒」に属している夏野菜です。地域にもよりますが今が旬のはしりで、これから本格的な旬を迎えます。

冬瓜の歴史

冬瓜の原産は東南アジアやインドです。日本へ渡来した時期ははっきりとはしていませんが、延喜年間(901〜923年)に編纂された日本最古の薬物辞典『本草和名』には、「カモウリ」として掲載されていることから、1000年以上前から食べられてきたようです。
また、江戸時代に著された「和歌食物本草(普段食する食材の効能や食べ方を和歌で表現したもの)」には、

冬瓜は霜ふりて後食すべし
さらすは後に膈を患ふ

とあり、熟して白い粉(ブルーム)が吹くと食べごろだと伝えています。

まだ早いためか、ほとんどブルームが出ていません。

まだ早いためか、ほとんどブルームが出ていません。

冬瓜は夏にとれるものの、「冬」という名前がついています。後述のように冬まで保存できるから、という説もあれば、この白い粉が冬を連想させるからだ、という説もあるようです。

夏野菜の冬瓜ですが、季語は秋です。

冬瓜や たがひにかはる 顔の形 芭蕉

呼び方は、中国語の「トングヮ」から「トウガン」と呼ばれるようになりました。また、地域によっては、「トウガ」「カモウリ」「シブイ」等と呼ばれています。

冬瓜の特徴

冬瓜は、にがうり(ゴーヤー)や、キュウリ、スイカ等と同じウリ科の蔓性一年草です。
3月~4月上旬に種をまき、7月下旬~9月頃に収穫を迎えます。原産地から見てもわかる通り、強い日差しを好みます。日本では、沖縄県や愛知県、岡山県が全国でも有数の産地で、多く生産されています。

種をまいて3ヶ月程度で直径5~7cm、花弁5枚のきれいな黄色い花を咲かせます。
初期の実には、粗毛が生えていて、成熟とともに無くなっていきます。完熟すると、白い粉(ブルーム)で覆われてきます。(琉球種では白い粉は出ません)

【参考】
難しくないキュウリのぬか漬け ブルーム(白い粉)
http://www.bionet.jp/2009/06/kyuri/#attachment_1578

実のサイズにもよりますが、開花後約1ヶ月程度で、収穫ができます。表皮は濃い緑色をしていて丈夫でキメが細かく、また、熟すと実が固くなることから、水分を失いにくいという特長があり、カットせずにそのまま保存する場合、収穫してから2〜3ケ月は品質を保つ事ができます。昔の人々には、「冬まで保存のきく野菜」としてとても重宝され、そこから「冬瓜」という名前が付けられたとされています。
形は、品種によって球または楕円形をしていて、もともとは、大きなもので10kg以上になりますが、早期栽培という生産者の観点や消費者の需要から、現在では品種改良された小さな冬瓜(小冬瓜やミニ冬瓜等)も流通しています。

無駄が多いことの例えとして、「冬瓜の花の百一(とうがんのはなのひゃくいち)」ということわざがあります。それは、花はたくさん咲いても、実になるのはわずかばかり、という冬瓜栽培の特徴から来ています。農家では、ハチや手交配による人工受粉によって受粉を行なっています。

冬瓜の栄養

カリウムとビタミンCがやや含まれていますが、95%以上が水分で、とても低カロリーな食材です。利尿作用があるので、カラダに溜まったナトリウム(塩分)や毒素を体外に排出することができ、高血圧やむくみの解消といった効果があるため、ダイエットに適した食材としても注目されています。口の渇きを抑えたり、食欲増進も期待できます。

100g当たり
熱量(カロリー) 16kcal
水分 95.3g
カリウム 200mg
カルシウム 19mg
ビタミンC 39mg
炭水化物 3.8g
脂質 0.1g
食物繊維 1.3g

冬瓜の選び方

均一に白く粉を吹いているもの、琉球種では皮の緑色が濃く光沢があるもの、しわが無いもの、ずっしりと重たいもの、切り口がみずみずしいものを選んでください。前述したとおり、カットされていないものを購入した場合は、冷暗所等、日の当たらない涼しい場所に保存すると長持ちします。カットされたものの場合は、種とわたを取り除いてラップに包んで保存します。カットすると、長期保存性は失われるため、他の野菜同様で早めに食べましょう。

カットしたら保存性は失われます

カットしたら保存性は失われます

冬瓜の料理

煮物やあんかけ、お吸い物、サラダにも使えます。

銀耳冬瓜
銀耳冬瓜
銀耳(しろきくらげ)と冬瓜、インゲン、干し海老、椎茸などを中華スープで炊いて片栗粉でとろみを加えました。

豚肉と冬瓜の炒め煮
豚肉と冬瓜の炒め煮
下茹でした豚肉と冬瓜を出汁醤油味の炒め煮です。

まだちょっとお値段の高い冬瓜ですが、これから旬を迎えるにつれ、保存性と大きさのわりにかなり安い値段で売られるようになってきます。

旬の食べ物で身体の調子を整えて、これからの夏を乗り切りましょう。

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