色、いろいろ。

利休鼠の雨

版画/たかだみつみ 文/小池一三
2011年06月06日 月曜日
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利休鼠の雨版画

江戸時代は、茶色と鼠色が好まれていて、四十八茶、百鼠といわれました。茶色は48種類、鼠は100種類あるというのです。
百鼠といっても、百あるわけではなく、茶色より多く、それほど多色を数える色だという意味です。けれども、百と言われると挙げてみたくなるではありませんか。

梅鼠 紅梅の花のような赤みのある鼠色。梅は豊後の別名があり、豊後鼠ともいう。
桜鼠 淡い紅色が灰色みをおび、少しくすんだ薄い桜色。
銀鼠 銀色は「しろがねいろ」とも。白に近い灰色。墨の五彩の中の「淡」にあたる。
白鼠 銀の色のような明るい鼠色。墨の五彩の中の一番淡い「清」にあたる。
小町鼠 美女小野小町の名をとった美しい鼠色。銀鼠よりも淡い色。
深川鼠・湊鼠 深川鼠は江戸深川、湊鼠は大坂の湊村。共にいなせな若衆好みの鼠色。
素鼠 まじりっけのない鼠色。墨の五彩の中の「重」(中明度)にあたる。
柳鼠 柳の緑を帯びた鼠色。俗に「豆がら茶」ともいう。
藍鼠 灰みの淡い青色。
紺鼠 藍鼠より、より青みのつよい色。
藤鼠 落ち着いたやわらかみのある青みの紫。和服の色として好まれる。
鳩羽鼠 山鳩の背中の色。赤みの灰紫。
葡萄鼠 にぶい赤紫。「ぶどう」は古名で「えび」。そこから「えび鼠」とも呼ばれる。
丼鼠・溝鼠 江戸鼠の常用色。墨の五彩の中の「濃」にあたる。

このほかに、紅消鼠、都鼠、小豆鼠、臙脂鼠、嵯峨鼠、壁鼠、玉子鼠、島松鼠、呉竹鼠、松葉鼠、納戸鼠、源氏鼠、濃鼠、紅鼠、江戸鼠、錆鼠、暁鼠、生壁鼠、猩々鼠、納戸鼠、山吹鼠、日の出鼠、鴇鼠、牡丹鼠、松葉鼠、淀鼠、鴨川鼠、軍勝鼠、空色鼠、桔梗鼠、相生鼠。これに利休鼠を加えて、48色でした。

さて、利休鼠です。りきゅうねずみ、という人がいますが、りきゅうねずが正解。緑色がかった灰色、地味で品のある色合いから、利休好みの色と想像されたようです。利休といえば「侘茶」ですが、岡倉天心の『茶の本』によると、侘びは不完全の美でああって、外見的に不完全なものを、心の中で完成することのできる人にしか、この美は発見できないといいます。この本は、天心がボストン美術館に勤めていた時に英語(タイトル『THE BOOK OF TEA』)で書かれた本でした。
利休鼠が知られるようになったのは、何といっても北原白秋「城ケ島の雨」の歌詞からです。

北原白秋 作詞 梁田 貞 作曲

雨はふるふる 城ヶ島の磯に
利休鼠の 雨がふる

雨は真珠か 夜明けの霧か
それともわたしの 忍び泣き

舟はゆくゆく 通り矢のはなを
濡れて帆上げた ぬしの舟
ええ 舟は櫓でやる 櫓は唄でやる
唄は船頭さんの 心意気

雨はふるふる 日はうす曇る
舟はゆくゆく 帆がかすむ

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