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木の家リノベーション日本縦断セミナーから

2011年04月25日 月曜日
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木の家リノベーションプロジェクト

住まいネット新聞びおでおなじみの〈町の工務店ネット〉と、耐震改修のトップランナー〈既存建物耐震補強研究会〉と、ローテクとハイテク技術を見事に組み合わせる〈EOM〉の、トップ3 グループがコラボする合同プロジェクト「木の家リノベーションプロジェクト」が発足し、この合同セミナーが全国5 箇所で開催されました。
札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡の6 箇所で開催を予定していましたが、東日本大震災の影響により仙台での開催を延期とし、ひとまず5 箇所での開催となりました。また、この地震についてより深く知るために、急遽、地震学者の島村英紀氏にご登壇いただくことになりました。

いま、この列島で起こっている「大地変動」を解く

地震学者の島村英紀氏島村先生からは、『いま、この列島で起こっている「大地変動」を解く』と題して、地震のメカニズム、今回の地震がどのように起きたかを語っていただきました。

地震の種類

東北地方太平洋沖地震は、太平洋プレートと北米プレートの境で起きた、典型的な海溝型の地震でした。
日本で起こる地震は、大まかに分けるとこの「海溝型」と、「内陸直下型」があります。海溝型地震は、起きる場所・メカニズムもかなり分かってきています。海底のプレートの押合いによって起こる地震で、日本の場合は太平洋岸沖と、北日本の日本海岸沖の二箇所に限られています。
一方の内陸直下型地震は、まったく別のメカニズムで起こります。こちらは、どこで起こるか、いつ起こるかはわからないこと、そして直下で起こるゆえに、地震のエネルギーが海溝型より小さくても大きな被害となることがあります。
阪神淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震は直下型の地震でしたが、マグニチュードは7.3 と、東北地方太平洋沖地震に比べると小さなものでした。

モーメントマグニチュード

東北地方太平洋沖地震では、当初マグニチュード7.9 とされていたものが、8.4、8.8、そして9.0 へと修正されました。
従来、日本の気象庁が採用していたものは「気象庁マグニチュード(Mj)」と呼ばれるものでしたが、今回9.0 と発表されたものは、「モーメントマグニチュード(Mw)」によるものです。島村先生は、気象庁マグニチュードで8.4 にとどまると、「想定外」が通用しなくなるために、別の指標であるモーメントマグニチュードを採用したのでは、とも指摘します。

今回の地震の震源と揺れ

東北地方太平洋沖地震の震源地は三陸沖とされています。これは実際には地震断層のなかで破壊が始まった「点」を示していて、地震の全体像にはほとんど何も関係ありません。気象庁の「震源」と、地震学者のいう「震源」は異なっていて、地震学者は地震を起こした地震断層の広がり全てを「震源」と呼んでいます。
実際に、今回は気象庁発表の震源から400 キロほど離れた浦安でも液状化が起こりましたが、実際には、三陸沖から破壊が始まって、いくつかの地震がドミノ倒しのように起こり、南出は茨城沖まで広がりました。こうしてみると、浦安から震源までは100 キロあまりで、結果として大きな被害を受けることになりました。この地震の震源の大きさは、南北に約450 キロ、東西に約200 キロと、近年の日本に起きた地震では最大のものでした。

今回の巨大地震

今回の地震では最大震度7、大阪でも震度3 を記録するなど強い震度で、また大きな範囲で揺れが襲いました。しかしその割には揺れによる建物の倒壊は大きくありませんでした。地震の周波数スペクトルを見ると、木造家屋に甚大な被害をもたらす周波数が、地震の大きさにわりには大きくなかったことがわかります。

今回の揺れ

活断層とは

活断層とは、地震を起こした地震断層が地表に顔を出しているもの、と定義されています。つまり見えなければ活断層とは呼ばれないため、柔らかい堆積層に覆われていれば「活断層がない」ということになります。分かっているだけで日本には2000 以上の活断層がありますが、詳しい調査はこの1 割程度しか進んでいません。活断層がなければ安心、ということはなく、直下型地震は次にどこを襲うかは、今の学問ではわからないのです。

(図は東京大学地震研究所ホームページから)

既存建物耐震補強研究会 技術顧問 保坂貴司氏から

既存建物耐震補強研究会 技術顧問 保坂貴司氏既存建物耐震補強研究会(耐震研)技術顧問 保坂貴司氏からは、東北地方太平洋沖地震の実地報告と、構造調査、改修についてのプレゼンテーションが行われました。
保坂さんが実地に出向き、いつも感じることは、地震とは「地盤災害」であるということ。倒壊に至らない家でも、地盤崩壊により大きく被害を受けているケースが報告されました。
耐震研では、「耐震診断」から踏み込んで「構造調査」を行います。耐震診断では建物の水平耐力の検討を行いますが、それだけでなく、鉛直荷重、そして劣化対策・耐久性能の検討も行います。地盤調査では、通常行われるスウェーデンサウンディング式だけではなく、ハンドオーガーによる土質の調査や、地形、そして地名から推測できる地盤の状態を含めて検討します。そして実際の改修においては、耐震補強に優先して劣化対策を行うことの重要性や、「下から上に」「外周壁から」といった補強のポイントなどが報告されました。

保坂さんは、角川地名大事典なども参照して、地名の由来を探ることを勧めています。「川」や「谷」などがつく地名は、そこがかつて水辺だったことが多く、地盤がよくない可能性があります。たとえば、浜松市には「下池川町」という地名がありますが、これは地名大事典によると、「浜名湖に注ぐ新川上流域に位置する。地名は昔当地に池沼が多かったことに由来する」と記されています。地名はその土地を表す重要な手がかりです。昨今は宅地販売のためにちょっとおしゃれな地名に改名してしまうこともありますが、こうしたことからも、昔の地名は残すべきですね。

EOM株式会社 代表 荏原幸久氏から

EOM 株式会社 荏原幸久氏EOM株式会社 荏原幸久氏からは、建物を構成する材料の熱的特性と、建物の熱的バランスのこと、そして壁一体型e ソーラーの提案が行われました(eソーラーについては後述)。

参考記事
気象データを活かして家をつくろう。
http://www.bionet.jp/2011/03/meteorological/

町の工務店ネット代表 小池一三から

町の工務店ネット代表 小池一三今回の震災は、津波震災であると同時に原発震災であり、そして被害を受けた地方が原発を容認しない方向に進み、エネルギーは分散型となり、主権は地方に映るであろう、という報告が行われました。
いっぽうで、では昔の生活に戻れるかというとそれも難しい。エネルギーのエンドユースアプローチ(最終用途の側から考える)の観点にたち、EOM 荏原氏の報告にもあったeソーラーの活用による、パッシブで低エネルギーな建築を、あらためて提唱しました。

パッシブ設計+eソーラー+エアコン

冬はEOMが開発した、世界一集熱効率の高いeソーラー(特許取得済)とダイレクトゲインとエアコンが働きます。
eソーラーは、南壁面に取り付けます。冬は太陽高度の位置が低く、東京の緯度は北緯35.5度で、これに地球の傾きの23.5度をプラスし90度を引くと31度になり、それが冬至の時の南中高度となります。札幌では23度。沖縄那覇は40度で北に行くほど太陽高度は低くなります。したがって冬の壁集熱は、案外集熱効率が高いのです。壁で空気集熱して床下に送り込み、その熱は床下のコンクリートに主として蓄熱されます。
ダイレクトゲインは、南面の大きな木の窓から室内に日射を取り込みます。冬は部屋の奥まで、太陽熱をたっぷり建物に入れ込んでくれます。これらは太陽熱あってのことですので、曇天や雪の日には効果が低くなります。空が曇っていても散乱日射光はそれなりにありますが、それほど期待できません。そのような日にはエアコンを利用し、不足分をカバーします。太陽熱が主で、エアコンは補助暖房です。このエアコンは、蓄熱を介した一体システムとして利用されます。

夜間には、室温が下がってきた部屋に床下に蓄熱された熱が放熱されます。

夏は、まず徹底的な日射遮蔽をはかります。住宅の気密断熱化がすすむと、冬はともかく、夏は熱気が内部にこもってしまうことになります。緑のカーテンや簾、蔀戸などをもちいて、外部からの日射を遮断します。そのうえで、その空気を床下に運びます。「えっ!」とみんな驚きます。日射を受けていないとはいえ、夏の外気を室内に取り入れるのは常識外のことです。ここがこのシステムのミソです。取り入れられた外気は、前夜にエアコンで蓄冷された空気を誘い出し、涼しい気流を部屋へ運びながら、換気口から排気します。

夏の低エネ化は、夜間のボトムアップと、日中のピークカットが基本です。広い意味では、サマータイムや、交代勤務などもその一つであるわけですが、この手法では、たった一台のエアコンを用いて夜間蓄冷を行い、それを温度が上昇する日中に活かすのです。
このあり方を室内気候のベースとしながら、どうしても暑さの厳しい日には、ムリしないでエアコンを回します。

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