色、いろいろ。
藤
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天竜川に沿って車を走らせていると、向こう岸に天竜美林が見えて、そこに藤が咲いていたりします。そんなとき、濃い緑の杉林に藤は似合う、と思います。
藤は、マメ科のつる性植物です。右巻きに、他物に巻きついて成長します。人工林の森では、樹木の上部を覆って光合成を妨げて木の成長を阻害しますので、藤のつるは嫌われ、刈り取られます。最近、日本の山林で藤の花が咲いている風景が増えてきましたが、これは山に人の手が入らなくなり、放置林が増えたからです。そうすると、杉林に藤は、風景としてはいいけれど、困ったことなのですね。
藤は、桜のあとに咲きます。
天竜川の河口近くに、推定樹齢800年といわれる熊野の長藤(磐田市行興寺)があります。開花期の藤の花房は長さ1m以上もあって、それはそれは艶やかなものです。藤棚の下にいると、幾重にも花と花が重なって、そこにいると体が藤に包まれるような感覚におそわれます。
栃木足利の「迫間(はさま)の藤」は聞いた話では、熊野の長藤より凄いらしいですね。枝が畳1200枚分に広がっているそうで、藤の房がずっと遠くまで続いていて、それは日本最大のものだということでした。一度見たいと思っていますが、桜と同じで、タイミングが合わないと見られません。
清少納言は、『枕草子』に「藤の花は、しなひ長く、色濃く咲きたる、いとめでたし」と書いていて、紫式部は『源氏物語』の花宴の巻で、光源氏が藤の宴で朧月夜の君とし、明石の巻では、明石の君を「藤の花とやいふべからん」とよびます。そうしてみると、最近は藤が軽んじられているように思われます。
藤というと、日本舞踊の藤娘が思い出されます。六代目尾上菊五郎が藤の精が娘姿で踊ったことから、人気の歌舞伎舞踊の一つになっていて、当代では、坂東玉三郎の舞が有名です。俳句を4句、紹介しておきます。
芭蕉
蕪村
許六
子規





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