びおの珠玉記事

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家庭菜園、始めます。

※リニューアルする前の住まいマガジンびおから珠玉記事を再掲載しました。
(2010年10月13日の過去記事より再掲載)

野菜の苗
以前から興味があり、挑戦してみたいと思っていました。
でも、行動に移さないまま月日が過ぎていきました。

ある日、ふとしたきっかけが。
そして、「秋は春夏に比べて気温が低いので園芸作業が行ないやすく、病害虫被害も少ないというメリットがある」という情報も耳に入ってきました。
これは重い腰を上げるよい機会?
では、思い切って――

家庭菜園、始めます。

家庭菜園を始めるまで

以前から家庭菜園に興味を持ちつつも、借りている集合住宅のベランダで植木鉢にネギを植えるくらいのことしかしないまま、日々を過ごしていました。
植木鉢のネギは、買ってきたネギを食べる際に根元だけを残して植え、時々水をやり、伸びてきたネギをまた食べる、というだけのシロモノですが、わりと重宝していました。
そんなベランダの植木鉢のネギでも、小さな花がついたり、アブラムシが大発生して全滅したりなど小さなドラマがあり、ささやかに楽しんでいました。
伸びてきたネギ
また、一方で、身近に畑を借りて野菜をつくっている人がいて、時々収穫した野菜をもらって美味しくいただいたり、畑を見に行ったりして、楽しそうだなあと思っていました。
子どもの頃、母が自家用の野菜をつくっていて、畑での収穫がうれしかったことなども思い出していました。

そんなある日、出かけたイベントで、思いがけず“丸葉小松菜のたね”をいただいたのです。
丸葉小松菜のたね
せっかくだから、育てて収穫したい。
ベランダで、プランターでも育てられるけれど…?
どうやら秋は春夏に比べて気温が低いため園芸作業が行ないやすく、病害虫被害も少ないというメリットがあるらしい。
じゃあ、思い切って、家庭菜園を始めてみようか?!
――そんなきっかけで、重い腰を上げ、家庭菜園を始めることにしました。

畑を借りる

まずは、野菜をつくるための畑を借りよう! ということで、家の近くの市民農園で借りられるところがないか探しました。
びお編集部のある浜松市は、「市民ふれあい農園」「いきいき菜園」などの市民農園を整備しています。
一区画の面積や年間の入園料は農園によって様々で、20m²~60m²、4,000円~30,000円といった具合です。
農園には、農機具小屋・簡易トイレ・水道設備・駐車場などが設置されています。
市民農園
幸い、家の近く(車で10分ほど)の市民農園に空いている畑があり、そこを借りられることになりました。
この市民農園では、無農薬有機栽培を条件としているそうです。そうしたいと思っていたので、渡りに船。
借りることになったのは50m²ほどの畑です。

道具の準備

畑を耕したり、畝をつくるのに使う鍬は、さしあたり実家にあったもの(古いものですが)を借りることにしました。如雨露も借りました。
大きいスコップがあると便利なようなので、追って購入するつもりです。

鍬

それから、ホームセンターで長靴と軍手を買いました。
長靴を履くのは、小学生の頃以来ではないでしょうか…!


そして、農家の女性の方がよく被っている、後ろ側に布がついていて首の後ろまで隠れる帽子が以前から欲しかったのですが、買い物に行ったホームセンターに置いていなかったので、しばしお預け。
普通の帽子と手拭いで代用しました。

種と苗を買いに行く

種や苗はホームセンターでも売っていますが、折角ですから、今回は「種苗店」に買いにいってみることにしました。

前出の“丸葉小松菜のたね”の説明書きには「この種は何世代もかけ伝えられてきた遺伝的に安定した固定種です。」と書かれています。
はて、「固定種」とは?
気になって、少し調べてみました。

固定種とF1種について

世の中で販売されている野菜の種は、一般に「固定種」と「F1・交配種」(F1種)(一代交配種、一代雑種、ハイブリッド品種ともいう)に大別されます。

固定種とF1種の種の特徴をみてみましょう。

●『いのちの種を未来に』(野口 勲 著、創森社、2008年)より

固定種の種

・何世代にもわたり、絶えず選抜・淘汰され、遺伝的に安定した品種。ある地域の気候・風土に適応した伝統野菜、地方野菜(在来種)を固定化したもの
・生育時期や形、大きさなどがそろわないこともある
・地域の食材として根付き、個性的で豊かな風味を持つ
・自家採種できる

F1種の種

・異なる性質の種を掛け合わせてつくった雑種の一代目
・F2(雑種第2世代)になると、多くの株にF1と異なる性質が現れる
・生育が旺盛で特定の病気に耐病性をつけやすく、大きさも風味も均一。大量生産、大量輸送、周年供給などを可能にしている
・自家採種では、同じ性質を持った種が採れない(種の生産や価格を種苗メーカーにゆだねることになる)

<備考>(当記事にて追記)
・F1とは「Filial 1」の略語で、「第一世代の」という意味
・上記のことから、農家は非常に高価なF1種の種を、毎年メーカーの言いなりの価格で買わざるをえない



さらに、野菜と種の現状について、上記資料より。

昭和30年代頃までは、生産・販売されていた野菜のほとんどは固定種でした。
ところが現在、スーパーや八百屋の店先に並ぶ野菜の中に、固定種の野菜はほとんどありません。F1種の野菜に席巻されてしまっています。

F1種は、生育スピードが早く均一であり、形状も揃っていて歩留まりが良いため、野菜の大生産地にとっては大変都合のよいものです。
しかし、そうしたF1種が広く普及し、どこでも同じ野菜をつくるようになってしまったために、現在の野菜文化はモノカルチャー化(特定の一種類の農作物を栽培すること。単作化)してしまいました。

そしてこれらのF1種は、主に効率良く生産すること、流通することを主目的として開発されていて、味については二の次です。また、野菜産地にとって最大の顧客は、ややもすれば個々の消費者ではなく外食産業などになりがちですから、産地は外食産業などロット(同一製品の製造・取引単位)の大きな顧客のニーズに合わせた野菜を生産することになります。種苗メーカーや産地指導にあたる農業試験場の人の話によると、今、外食産業の要求は、極端な例かもしれませんが「味付けは我々がやるから、味のない野菜をつくってくれ。また、菌体量の少ない野菜を供給してくれ」というものだそうです。

こうして、世の中に流通する野菜はどんどん味気なくなり、機械調理に適した外観ばかりのものに変化しているのです。

固定種とF1種の違いを簡潔に言ってしまえば、固定種は遺伝子の最大公約数のようなもので、それぞれの地域の気候風土に適合するための多様な能力を秘めていると考えることができます。それは植物本来の姿です。一方のF1種は、その一代限りであり、わずかな個体の最小公倍数のようなものです。特に「雄性不稔」(ゆうせいふねん。葯や雄しべが退化して、花粉が機能的に不完全になることで、平たくいえば無精子症)という技術を使ってつくられたF1種は、次の世代の種を遺すことさえできず、多様性のかけらもありません。そんな野菜が知らず知らずのうちに世の中に蔓延しているのです。

誰もが同じ野菜をつくり、同じ野菜を食べるようになった今では、各地方の先人たちが苦労して育て上げていった文化遺産とでもいうべき野菜が、そして地方色豊かな食文化が失われつつあります。さらにいえば、今つくられている野菜は、生物として本来持っている遺伝的な多様性さえ奪われてしまっています。やれ生物多様性だ、地方の時代だといわれているこの時代に、野菜の世界では真逆のことが進行しているのです。

しかし、多くの人はそのことに気づいてさえいません。取り返しのつかないことが起こらないうちに、この流れは食い止めなければなりません。

長々と引用してしまいましたが、現在、世の中でこういうことが起こっているとは……固定種とF1種、これまで知らなかったので、驚きの事実でした。
このことを知らない人も多いのではないかと思うのですが、どうでしょうか?
もっと多くの人が知って、考えなくてはいけない問題なのではないか、と感じました。

味に関しては、F1種よりも断然、固定種が勝るのだそうです。
最近のF1種は、味を求めての育種ではなく、色や形、保存性などを求めて育種することがほとんど。
固定種ならば、日本人が長い間かけて受け継いできた伝統の味、旬の味覚を味わうことができます。
ビニールハウスで一年中つくることができるけれど気候の変化に鈍感なF1種の野菜と、露地で雨や霜にあたって風雪に耐えながら旨味を蓄えた固定種の野菜とでは、味の深みに差があるのは当然といえます。
伝統野菜が見直される気運が高まっている今、ぜひ野菜本来の味を持っている個性的な固定種の野菜を味わい、楽しみたいものです。

そして固定種には、家庭菜園に向いているというメリットもあります。
プロの農家にとってみれば、均一に生育して出荷時期に一斉に収穫できるF1種の方が向いていますが、生育が均一でない固定種は、少しずつ長い期間にわたって収穫することができる、ということになります。家庭菜園であれば、その方が望ましいですよね。一度に多く穫れすぎて、食べきれずにダメにしてしまう、ということもありません。

また、遺伝子レベルでほぼ均一であるF1種は、耐性のない病虫害が発生すると一気に広がり、全滅してしまうことがあるそうです。そのため、F1種の生産地では、どうしても農薬が欠かせないということになります。
遺伝的な多様性を持っている固定種なら、たとえ病虫害が発生したとしても全滅はせずに、いずれかの株が免疫を獲得して生き残り、子孫に受け継いでいく可能性が高いのだそうです。
このことも、なるべく農薬を使いたくない家庭菜園にとっては好都合だといえます。

そして何よりも、自家採種が可能だということ。
それは、F1種のように毎年種を買う必要がない、ということだけではなく、自分で栽培したものの中からうまくできたものの種を採り何年か栽培を続けていくと、その栽培地の気候風土や土壌環境になじみ、よりおいしくたくましい野菜になっていく、いわば、地域や自らのオリジナルの野菜づくりができる、ということでもあります。

固定種は今、絶滅の危機に瀕しています。
しかし残念ながら、一般のプロの農家は「固定種をつくりたくてもつくれない」というのが現状です。
固定種の伝統を次代に受け継いでいってくれるのは、もしかしたら家庭菜園愛好家の方々やごく一部の有機農家の方々かもしれません、と上記資料の著者、野口 勲さんは書いています。

さらに現実を見つめてみると、販売用野菜種子のほとんどをF1種にしてしまったのは日本ぐらい、なのだそうです。例えばフランスの種子会社のカタログを見てみると、現在でも7~8割が固定種なのだとか。

そして、いまや海外採種が当たり前になり、現在流通している種で国産のものの割合は一割にも満たないそうです。京都の「九条ネギ」を南アフリカ、「聖護院ダイコン」をイタリアで採種しているという話にはびっくりしました。
食糧自給率の低さが問題になって久しいですが、野菜の種の自給率もこんなに低かったとは!

<自家採種できる野菜の種子を扱っているところ>

岩崎さんちの種子採り家庭菜園』(岩崎政利 著、家の光協会、2004年)より

自家採種は、まず固定種の野菜の種子から始めるとよいでしょう。
園芸店で売られている種子の袋に「○○交配」という文字があれば「F1交配種」のこと。固定種は「固定種」と書かれていることは少なく、何も書かれていないか、もしくは「○○育成」と書かれていることが多いようです。
F1交配種は、交配の過程が複雑なために、自家採種が可能なものとたいへん難しいものがあります。次に取り上げた品種はF1交配種の種子であっても、自家採種が可能なものです。
種子を入手するには、まず地元に古くからある種苗店を訪ねてみましょう。そこで自分の住む地方には、どんな伝統野菜があるのかを知ることが大切です。そして固定種の野菜作りから始め、自分で種子を採ってみましょう。
ここに挙げた五か所は、自家採種できる野菜の種子を扱っているところです。

◆野口のタネ・野口種苗研究所(埼玉県飯能市)
固定種の種子を中心に、家庭菜園に向く種子を扱っている種苗店。
<入手できる種子の例>
みやま小カブ、今市カブ、樋ノ口小カブ、暮坪カブ、野沢菜、練馬中長ダイコン、新三浦ダイコン、富士早生甘藍(キャベツ)、ブロッコリー・ドシコ、のらぼう、松島新二号ハクサイ、豊葉ホウレンソウ、コスレタス、四葉キュウリ、相模半白キュウリ、甘露まくわウリ、仙台長ナス、民田ナス、アロイトマト、世界一トマト、伊勢ピーマン、大浦太ゴボウ、八丈オクラ、甲州トウモロコシなど。
http://noguchiseed.com/

◆光郷城 畑懐(こうごうせい はふう)(旧 芽ぶき屋)(静岡県浜松市)
固定種を中心に扱っている種苗店。通信販売で購入する。
<入手できる種子の例>
賀茂ナス、真黒ナス、伊勢ピーマン、野崎早生カリフラワー、丸葉小松菜、ちぢみ菜、しゃもじ菜、かつお菜、下仁田ネギ、石倉根深ネギ、鈴成砂糖エンドウ、伊豆赤花絹サヤエンドウ、加賀節成キュウリ、青大豆、だだちゃ豆、旭大和スイカ、信州地ダイコン、聖護院大丸ダイコン、黒田五寸ニンジン、日本ホウレンソウなど。
https://kougousei-hafuu.jimdofree.com/

◆自然農法国際研究開発センター(研究部育種課、長野県松本市)
自然農法によって育成した種子、有機栽培にむいた種子を提供販売している。
<入手できる種子の例>
島村インゲン、天王寺カブ、寄居カブ、川島かき菜、小布施丸ナス、在来青ナス、筑摩野五寸ニンジン、モチットコーン(トウモロコシ)、自農L-1(リーフレタス)、自農L-5(サラダ菜)、ブラジルミニトマト、メニーナ(交配トマト)、夢枕スイカ、耐病霜知らず(キュウリ)、上高地(交配キュウリ)、ケイセブン(交配カボチャ)、長野在来ハッパード(カボチャ)など。
http://www.infrc.or.jp/ 

◆太田種苗(滋賀県近江八幡市)
固定種、F1交配種の種子をはじめ、園芸資材なども扱う園芸店。
<入手できる種子の例>
日野菜カブ、矢島カブ、ゆるぎカブ、打木源助ダイコン、美濃早生ダイコン、大蔵ダイコン、山田ねずみダイコン、滋賀真紅金時ニンジン、常磐大長ゴボウ、葉ゴボウ、次郎丸ホウレンソウ、久留米豊エンドウ、一寸大ソラマメ、花心ハクサイ、加賀青長節成キュウリ、伏見甘長トウガラシ、打木早生赤栗カボチャ、鹿が谷カボチャ、黒門青大縞ウリ、淡路中高黄タマネギ、岩槻ネギ、九条太ネギなど。
http://www.otaseed.co.jp/

◆八江農芸(長崎県諫早市)
長崎県の地方野菜の種子が入手できる。固定種、F1交配種の種子や園芸資材を扱う園芸店。
<入手できる種子の例>
赤首女山三月ダイコン、茜山三月ダイコン、こうちんダイコン、中国紅芯ダイコン、長崎赤カブ、新黒田五寸ニンジン、冬紅五寸ニンジン、改良雲仙丸(タマネギ)、平戸ニンニク、早生長崎ハクサイ、晩生長崎ハクサイ、三池高菜、ターサイ、雲仙こぶ高菜、雲仙結球高菜、芳天シュンギク、新長崎長ナス、西海グリーンピース、長崎漬ウリなど。
https://www.yaeseed.co.jp/ 

できることなら自家採種できる固定種の野菜をつくりたいと思い、調べてみたところ、幸いにも浜松に固定種を扱っている種苗店があることが分かり、そこへ行ってみることにしました。

お店の方に、正直に全くの素人であることを伝え、「これから家庭菜園を始めようと思っているのですが、今の時期でしたら何をつくるのがいいでしょうか?」と尋ねてみると、詳しく丁寧に教えてくださいました。
「ブロッコリー、カリフラワー、キャベツなどの苗もの。にんにく、らっきょう、エシャレットなどの球根。種からなら葉ものがいいですね。大根は少し遅いですが、ぎりぎり間に合うものもあります。かぶもいいですね。それから、そら豆やえんどう豆なども蒔きどきです。」

苗は、赤キャベツ・スイートキャベツ・プチベール・芽キャベツ・野崎早生カリフラワー・ブロッコリー(ゆとり)・ロマネスコ(うずまき)・サラダレッドリーフレタス・サラダグリーンリーフレタス・いちご(宝交早生)が売っていました。

さんざん迷いましたが、心ひかれる説明書きを決め手に、

◆赤キャベツ(100円)
「とても作り易くどこでも栽培できます」

◆芽キャベツ(150円)
「とってもたくさんなります。大型プランターでもOK」
(芽キャベツがなる様子がおもしろそうだったので)

◆ブロッコリー(ゆとり)(110円)
「春まで側枝も楽しめる。うまいヨ(追肥肥料をしてください)」

◆ロマネスコ(うずまき)(120円)
「ブロッコリーとカリフラワーのいいとこどり。うまい!です。」
(鮮やかな黄色のカリフラワーといった様子。これも珍しくて、おもしろそうだったので)

◆サラダグリーンリーフレタス(150円)
「一株で30枚くらいかきとり収穫。(プランターOK)」

それぞれを一株ずつ、買ってみることにしました。
いちごもいいな~と思ったのですが、初心者には難しそうな印象があったため、今回は断念。
赤キャベツ、芽キャベツ、ブロッコリー(ゆとり)、ロマネスコ(うずまき)、サラダグリーンリーフレタス
種は、ものすごい数の種が並んでいて、素人の私はしばし呆然としてしまいました。

大根の種だけでも、何種類もあって、どうしたものやら…。
またお店の方に教えていただきながら、次の種を購入しました。

◆与作大根(450円)
これからでも間に合う大根を2種類(与作大根、福太郎大根)教えていただき、そのうち「与作大根」の種を購入。1週間以内に蒔いてください、とのこと。

◆天王寺かぶ(315円)
お店の方からお話を聞いて、うまく育たなかった場合を想定し、少し大き目(中型タイプ)の種類のかぶの種を購入。

◆丸葉小松菜(315円)
追加で小松菜の種を購入。「2~3週間ぐらいずらして2回目、3回目…と種を蒔くと、時期をずらして収穫できるので、いいですよ」とアドバイスをいただく。

◆中葉春菊(315円)
春菊は独特の香りが好きで、鍋などにぜひ使いたいので、購入。

◆お多福そらまめ(660円)、つるありスナップえんどう(315円)
今が蒔きどきとのことで、やはり好物なので購入。収穫できるのは春~初夏の頃。

たくさんの種を目の前にすると、あれもこれも…といろいろな野菜に挑戦したい気持ちがムクムクとわいてきて、ついつい買いすぎてしまいました。
果たして全部蒔けるのかどうか、はなはだ自信はありませんが…。



お店には、いろいろな農機具、農作業の道具、肥料なども売っていました。
一つ一つが物珍しく、これまで知らなかった世界だなあ…ということを実感しました。
お店の方のアドバイスで、土をつくるための苦土石灰と有機肥料も購入しておきました。
有機肥料

わけぎ(分葱)の苗をいただく

畑の下見をしていた際、近くの畑で野菜をつくっている方が、「わけぎは植える?もし植えるんだったら、あげるよ~」と声をかけてくださいました。
これから市民農園の畑を借りて野菜作りを始めるところであることや、ずぶの素人であることなどをお話しながら、「ぜひ植えたいです!」とありがたく頂戴しました。

この方はかなり広い畑でいろいろな野菜を作っていらっしゃいました。始めはほんの一畝から始めたのだけれど、だんだん広がって、いつの間にかこの広さになってしまった、とのこと。
この方も、野菜づくりについていろいろと教えてくださいました。

畑をやっていると、同じ市民農園の畑を借りている方たちや、近くの畑の方たちと、こういった交流を持てるのかな?と思いました。

いただいたわけぎの苗

いただいたわけぎの苗

市民農園で野菜をつくっている方にお話を聞く

畑を借りることになった市民農園で、2年ほど前から野菜づくりをしているSさんにお話を聞くことができました。

◆どのような動機、きっかけで野菜づくりを始めたのですか?
母が自然食品店をしており、店では無農薬有機栽培の野菜を扱っています。私も妻も店に関わっていまして、野菜づくりに興味を持ったのはそのことが大きいと思います。
◆実際に野菜づくりをしてみて、どのように感じていますか?
楽しいですね。

作業をしている間は、作業に没頭でき、無心になれるように思います。
普段、なかなかそういう時間ってないですよね。

「ものをつくる」ことの大変さ、喜び、ということもありますね。
これも、普段の生活の中ではなかなかないことですよね。
野菜ってこうやってできるんだな、ってわかります。
工業製品じゃない、「製造」じゃなくて「生産」ですよね。

野菜によって、“このタイミングでこうしなきゃいけない”というように適した時期というものがあり、その時期を守らないとうまく育ちません。でも気候の状況ということもあって、様子を見ながら作業の時期ややり方を調整します。例えば、「今年の夏は暑かったから、この種蒔きは少し遅らせよう」とか。
大仰に言えば、自然、野菜との会話、ということでしょうか(笑)。

収穫した野菜を自分たちで食べるのもうれしいけど、人にあげられる、喜んでもらえるのがうれしいですね。

Sさんの畑

Sさんの畑。現在、キャベツ、ブロッコリー、じゃがいも、わけぎ、根深ねぎなどを植えてあります。名残のなすも一株。


◆畑にコンポストを置いて、家庭で出る生ゴミを処理しているそうですね?
はい、そうですね。
畑に来られるのは1週間に1回なのですが、1週間分の生ゴミを、蓋のできるゴミ箱に入れてベランダに置いておき、畑に来るときに持ってきています。
生ゴミはコンポストに入れて、上から土をかぶせておきます。
家で出るゴミは、ずいぶん減りましたね。
コンポスト

Sさんの畑のコンポスト


◆3歳半のお子さんと一緒に畑にいらっしゃることが多いそうですが、
お子さんの様子はどうですか?
「畑行く?」と聞くと「イヤ」と答えることもよくありますが(笑)、いざ来てしまえば、土遊びをしたり、一緒に作業をしたりして、楽しんでいるようです。虫がいたりもしますしね。
親子で野菜作り

この日は奥さんはいらしておらず、Sさんと息子さんの2人。一緒にキャベツについている虫をとります


種をしんちょうに渡す

大根の種を蒔きます


畑で遊んでいるお子さんの様子や、2人で一緒に作業している様子を見て、「子どもと一緒に野菜づくりをするっていいなあ、こういう時間を持てるっていいなあ」としみじみ思いました。

いよいよ、野菜づくりを始めます

さて、いよいよ野菜づくりを始めます。

借りた畑は、ちょうどその畑を前に借りていた方が畑を止めたばかりというタイミングでした。
畑はきれいに片づけられており、土はやわらかく、ありがたいことにすぐにでも野菜づくりを始められそうな状況です。
先に苦土石灰や有機肥料を買ってありましたが、それらは追い追い使うとして、さしあたりはこのままの土でやってみることにしました。

畑はきれいに片づけられていますが、ところどころに出ている葉があります。どうやら、前の方は薩摩芋を植えていたようですね。

まずは、畑を耕しました。
お恥ずかしながら、かなりのへっぴり腰です…。
前出のSさんに、耕し方のコツを教えていただきました。
鍬を振り上げたら、あまり腕に力を入れずに、重力を利用して振り下ろすといい、とのこと。
教えていただいてもなかなかうまくコツがつかめませんでしたが、きっとそのうち慣れますよね!
一生懸命耕し中
耕した畑
こうして畑を耕したり、作業をしている間に、いろいろな生物に出くわしましたので、一挙ご紹介します。

まずはアマガエル。
アマガエル
モンシロチョウ。
キャベツに卵を産みにきたようです。
モンシロチョウ
またまた登場、バッタ。(真ん中にいます。)
よくみるとバッタ
第一印象は「カブトムシの幼虫みたい!」
前出のSさんのお話では、どうやらカナブンの幼虫らしいです。
カナブンの幼虫
そして真打登場、ミミズ!
小さいのも、
ミミズ
大きいのも。
大きいミミズ
番外編、鳩。(上の方にいます)
お隣の畑で、土をつついていました。種か何かを食べてるのかな?
向こうのほうに鳩
さて、土を耕した後、なんとか2つの畝をつくりました。

まずは、買ってあった苗を植えました。
右から、赤キャベツ・芽キャベツ・ロマネスコ・ブロッコリーです。
赤キャベツ・芽キャベツ・ロマネスコ・ブロッコリーの苗



今回、各種類1株ずつしか苗を買わなかったのですが、もしその1株がダメになってしまった時のことを考えると、同じ種類の苗をいくつか買っておけばよかったな…とこのときになって気づきました。
また買い足そうかな?

そして、いただいたわけぎの苗も植えました。
ただいたわけぎの苗も植えました。
次に、与作大根の種蒔き。
大根用の畝は、土を深めに掘ってやわらかくし、畝を少し高くしました。
(Sさんのお話では、畝の高さによって、水はけのよさ・水持ちのよさが変わってくるとか。)

種苗店でいただいた冊子に、「ビール瓶の底などで浅いまき穴を作り、1穴4~5粒の種をまく。覆土は5mm位とし、上から軽く押さえる」と書いてあったので、そうしてみました。

ビール瓶の底などで浅いまき穴を作り、1穴4~5粒の種をまく。

ビール瓶の底などで浅いまき穴を作り、1穴4~5粒の種をまく。


赤い与作大根の種

【与作大根の種】


丸葉小松菜の種蒔き
そして、家庭菜園を始めるきっかけになった、丸葉小松菜の種蒔き。
種の袋に「畝をつくり2条にスジまきをします。種がかくれる程度土をかけます」とあったので、そのように。
丸葉小松菜の種

丸葉小松菜の種


畝に二条のスジ

畝に二条のスジをつけます


種まき後の畑

苗の植え付けと種蒔きをした後、水をたっぷりやっておきました。
ジョウロ

レタスの苗は、虫が心配なのと、食べたいときにすぐに収穫できて便利なので、畑の土を入れた植木鉢で、ベランダで育てることにしました。
レタス

レタスの苗


まだ蒔いていない種がたくさんあるのですが、体力の限界を感じて、この日はここまでで終了…。

Sさんのお話では、「初めは日光にも当たり慣れていないし、がんばっても2時間くらいがせいぜいですよ。疲れてしまいますからね。」とのこと。
この日、Sさんの取材も含めて4時間くらい畑にいました。作業量はそんなに多くなかったのですが、日頃の著しい運動不足が祟って、体はガタガタ、かなり疲れているのを感じました。ひどい筋肉痛の予感も…。

でも、体の疲れとは裏腹に、心持ちは清々しい!のです。
何やら気力が充実して、その日1日、いろいろなことをテキパキとこなせました。

畑での野菜づくりは、運動不足の解消にも役立ちそう、これだけでもうれしいのですが、ストレス解消・リフレッシュといった効果もあるのかもしれません。

さて、野菜づくりは、勉強・研究しようと思えば、学ぶことは山のようにあり、果てしない奥深さがありそうです。それもまたよし。
一方で、あまり気負わずに気楽にやってみるのも、またよし、と思うのです。

さしあたり後者の方向で、野菜づくりに取り組んでみようと思います。
この日蒔けなかった種も、追い追い蒔いていきます。
ぼちぼちと、長く続けるのが目標です。

だんだんと生長していく野菜の姿を見られることも、野菜づくりの喜びのひとつでしょう。
次に畑を訪れたときには、苗も大きくなり、小松菜や大根の芽も出ているかもしれません。
想像しただけで、わくわくします!

小さな畑

この日の成果、作業を終えた畑。

【参考資料】