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Plaster 左官・漆喰

文/武山倫
2010年09月18日 土曜日
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左官・漆喰

鏝(コテ)を使って、壁や床などを塗りあげる仕事を「左官」と呼びます。ここではおもに、壁仕上げとして用いられる「左官材料」とその仕上げを扱います。左官の魅力は、なんと言っても素材と手仕事の魅力です。塩ビが建材になる前の日本の建物は、木と土と紙でつくられていました。

左官・漆喰メンテナンス表

左官

材料の特質

家をつくるのに、できるだけ近くにある安価な材料を求めるとして、土は最も身近な材料のひとつです。どんな土でも塗り壁にできるという話を聞いたことがあります。地方にはさまざまな土があって、その中には壁材に適したいい土も数多くあります。そのひとつが珪藻土だといえます。調湿機能・消臭機能・温かい質感がもてはやされ、珪藻土は人気商品の一つです。町の工務店ネットでは、各メーカーから出そろった珪藻土を徹底分析、調湿性能・消臭性能についてデータを示しているメーカーもあれば、ただムードで珪藻土の魅力を商品にしているメーカーまでさまざまでした。左官が使う材料である土・漆喰・モルタルは、一般的に乾燥・硬化に時間が掛かる「湿式工法」と呼ばれ、工期短縮の流れから、サイディングや石膏ボード等建材の乾式化が進んだため、塗り壁や左官工事が急速に減少して職人数も減り続けていました。日本家屋の壁は、竹などを格子状に編んだ小舞下地(こまいしたじ)の両面に、藁(わら)を混ぜた土を塗り重ねる土壁、消石灰・麻等の繊維・糊でつくった漆喰が用いられていましたが、左官はそれらの仕上げに欠かせない職種でした。日本は湿式工法から離れてから悪くなった、という先輩が居ます。室内空気質の問題に至る新建材の登場など、乾式化が進んで「すまい」もつまらないものに変化してきた感じがします。しかし、最近になり、漆喰・珪藻土・土等の自然素材を使用した壁が見直されると共に、手仕事による仕上げの多様性や味わいを持つ、左官仕上げの良さが再認識されてきたといえます。

左官道具

●聚楽壁
豊臣秀吉が京都に建てた聚楽第付近で産出された土が聚楽土と呼ばれ、その土を用いたため、この名がついたといわれています。和風建築の土壁の仕上げのひとつで、黄褐色の壁土にわずかに黒点や錆が出ているもののこと。聚楽壁は、日本の伝統的な土壁のひとつで、左官塗りの仕上げ材の一種として、茶室などに広く用いられてきました。聚楽土に、すさ、砂、水などを混ぜて施工します。耐火性に優れ、年月を経過しても変わらない、あたたかみのある独特の風合いが好まれます。現在では、聚楽土は入手困難なため、現在では色も問わず、きめの細かい砂壁状の仕上げの表面状態を指していることが多いようです。ジュラクとカタカナで表現されます。

●珪藻土
二酸化ケイ素を主成分とする珪藻の化石からなる岩石が珪藻土です。建材としては、昔からその高い保温性と程よい吸湿性を生かして壁土に使われていました。

●漆喰
漆喰しっくいは、カルシウムを主成分としており、もとは「石灰」と表記されていたもので、漆喰の字は当て字が定着したものです。和製漆喰の製造方法は石灰に麻の繊維や藁の繊維(すさ)を加え、草本や海藻から得る接着剤、水などを加え練り上げて作られます。近年では海草から作られる接着剤の代わりに合成樹脂を使用した製品や、顔料を混ぜて色をつけた製品もあります。

●土佐漆喰
土佐で生まれた土佐漆喰は通常の漆喰と異なり、さまざまな特徴をもっています。なかでも、決定的に異なるのが以下の3点です。

  • (1) 土佐で産する純度の高い真っ白な石灰石を原料としていること。
  • (2) 重油焼成ではなく伝統的な徳利窯で石灰に工業塩を加えてゆっくりと焼成して、粒度の大きい消石灰が得られること。
  • (3) スサに発酵藁を使用することにより、一般の漆喰が必要とするツノマタなどの糊を使用しないこと。

土佐漆喰は、この生成上の特徴により、さまざまな長所を持ち合わせていると言われています。例えば、糊を使わないので漆喰壁に水が入っても戻りがないため、屋外に使用しても剥がれ落ちる心配がありません。また、塩焼き灰の効果により標準混水量が少ないため、左官の1回の塗付けを厚くすることができます。乾燥収縮も極めて小さいため、目地を切らずに大きな壁を作ることが可能です。これらを生かしてさまざまな土佐漆喰の壁が生まれています。

● シラス壁
株式会社高千穂が開発した「シラス壁」は、火山灰・シラスを活用した100%自然素材の塗り壁材。調湿・消臭機能に優れ、結露、シックハウス、カビ、ダニなどの悩みも解消。化学物質を一切使用しない健康建材です。

●ほたて漆喰壁
ほたて漆喰あいもり株式会社が、産業廃棄物だったホタテからつくった漆喰。その成分、素材の美しさにより、体に優しくデザインに優れた地球にもやさしい壁材です。

びお特集 蘇れ!16万トンの貝殻
http://www.bionet.jp/2008/08/hotate/

●ロマンティック・ウォール J
あいもり株式会社と、ドイツ・エコテック社との共同開発により生まれた高級粘土壁材です。ヨーロッパの粘土と北海道のホタテ貝殻を主原料とした自然素材の壁材です。粘土壁でありながら、ホタテ貝殻を入れることにより、抗カビ性と消臭性をもつ塗り壁材になりました。ドイツと日本、山と海との最高のコラボレーションです。2008年度グッドデザイン賞受賞。

メンテナンス

左官壁は基本的にメンテナンスフリーだと言われています。しかし地震などで崩れたり、クラックが入ってしまったりします。程度によりますが、10〜15年に一度を目安にプロに見てもらって、必要であれば補修を施すことが考えられます。江戸時代のお茶屋を改修した料理屋さんが金沢にあります。もともとの左官壁はどんなものであったか壁を削って確認した跡が笑窪のような窪みになって、何層にも違う色の壁が塗り重ねられている様子がきれいなコンターラインになっているところを見たことがあります。お店なので内装の雰囲気を変えるべく模様替えの気分で塗りかえられていたのだと思いました。

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